物流会社・倉庫会社のSEO対策というと、「記事を増やす」「キーワードを入れる」といった施策が先に思い浮かびがちです。
しかし、荷主獲得を目的にする場合、先に考えるべきなのは記事数ではありません。
荷主がどのような条件で物流会社を探し、その検索需要をサイト内のどのページで受けるかです。
ツリーズコンサルティングでは、物流・倉庫・3PL領域について、荷主側の検索キーワード500件を含む520キーワードを整理し、検索意図や代表的な検索結果、ページの役割をもとに253の検索テーマ、46のページ母型として整理しています。
この記事は、その整理をもとにした総合ガイドです。個別の施策を細かく解説するのではなく、物流会社が荷主獲得SEOを何から、どういう順番で判断していくかを通しで理解できるようにまとめています。
具体的には、次の順で説明します。
- SEOの前に決めること(誰から、どんな案件を増やしたいのか)
- 荷主がどんな条件で物流委託先を探すのか
- その検索需要を、どのページで受けるのか
- 荷主がページ上で何を確認するのか
- 記事・サービスページ・拠点ページをどう使い分けるのか
- どこで失敗しやすいのか
- 何から優先して手をつけるのか
キーワード設計、サービスページ、コンテンツ、地域・拠点、費用など、個別に深く掘る内容は専門記事へ内部リンクします。この記事は、その全体像と判断の順番を押さえるための位置づけです。
SEO施策の前に「誰から、どんな案件を増やしたいのか」を決める
最初に決めるのは、キーワードでもページ構成でもありません。
どんな荷主から、どんな案件を増やしたいのかです。
「新規荷主を増やしたい」だけでは、キーワードの優先順位を判断できません。物流の検索需要は、サービス・商材・地域・条件の組み合わせで無数に存在するため、絞り込みの基準がないと「検索ボリュームが大きい順」に流れてしまいます。
たとえば、次のくらいまで具体化できていると、その後の判断が進みます。
- 千葉の拠点で、冷凍食品の保管案件を増やしたい
- EC事業者の小ロット発送案件を増やしたい
- 化粧品の流通加工を受託したい
- 関東エリアで3PL案件を増やしたい
なぜ、SEOより先に事業・営業側を確認するのか
理由は3つあります。
1. 受託できない案件で上位に入っても、営業工数が増えるだけになる場合がある
危険物、医薬品、要冷凍、最低ロット、土日出荷など、物流には受託可否がはっきり分かれる条件があります。対応していない条件の検索で流入と問い合わせが増えても、断ることになれば、Web側の成果としても営業側の成果としても残りません。
2. 埋めたい余力によって、優先する地域・温度帯が変わる
空き坪、空きバース、作業要員の余力がどの拠点・どの温度帯にあるかで、優先すべき検索需要は変わります。全社的に「新規荷主」とだけ設定すると、余力のない領域に流入を集めてしまう可能性があります。
3. ページに書ける一次情報は、事業側の範囲を超えられない
サービスページや拠点ページで荷主の判断材料になるのは、設備、温度帯、対応ロット、実績、運用条件といった実態の情報です。これは事業側から出す以外にありません。狙う領域が決まっていないと、必要な一次情報を誰から集めるかも決まりません。
自社で確認すること
- 直近1〜2年で受注した案件は、どのサービス・商材・地域・条件だったか
- 現在、余力がある拠点・温度帯・作業能力はどこか
- 営業が「引き合いはあるが取り切れていない」と感じている領域はどこか
- 受託できない条件(商材、温度帯、最低ロット、出荷曜日、危険物など)は何か
この4点を言語化してから、検索需要の調査に入ります。
物流会社のSEO対策は「記事を増やすこと」ではない
物流会社のSEOでよく起こるのが、ブログ記事だけが増えていく状態です。
たとえば「3PLとは」「物流アウトソーシングとは」「WMSとは」といった記事は、情報収集段階のユーザーとの接点になります。
一方、その記事を読んだ荷主が、
- どんな業務を任せられるのか
- どんな商材に対応できるのか
- どこに拠点があるのか
- 冷凍・冷蔵、小ロットなどの条件に対応できるのか
- 問い合わせてよい会社なのか
を確認できなければ、荷主獲得の受け皿としては弱いままです。
記事を読んだ荷主が、次にサービス内容や対応拠点を確認しようとしたとき、その情報が不足していると、自社の案件に対応できる会社か判断しにくくなります。記事を追加しても、この部分は改善しません。
サービスページ・商材ページ・拠点ページなど、荷主が委託先を判断するページの情報が不足している場合は、記事を増やす前に、こうした受け皿を整えることが優先候補になります。
記事の企画や書き方については、物流会社のコンテンツSEOで詳しく扱っています。
荷主側の検索と、物流会社側の検索を分けて考える
物流会社のWeb担当者が検索する言葉と、荷主が物流委託先を探すときの言葉は別です。ここを混ぜると、施策の対象がずれます。
| 検索する人 | 検索例 | 荷主獲得SEOでの位置づけ |
|---|---|---|
| 物流会社自身 | 物流 SEO/倉庫会社 集客/物流会社 ホームページ/物流 ホームページ制作 | 自社の課題を調べるための検索。荷主獲得の主軸ではない |
| 荷主(委託先を探す側) | EC物流 委託/食品 倉庫 保管/冷凍倉庫 千葉/発送代行 小ロット/3PL 関東 | 荷主獲得SEOの中心 |
ツリーズコンサルティングの整理でも、荷主側の検索キーワードが500件であるのに対し、物流会社側の集客キーワードは20件です。件数の差そのものより、荷主獲得を目的にするなら、設計の中心は荷主側の検索になるという点が重要です。
物流会社側の検索キーワードにも、自社のWeb集客やSEO改善、採用、業界情報収集など、荷主獲得とは別の検索目的があります。ただしこの記事では荷主獲得を目的としているため、これらは荷主側検索とは分けて考えます。
自社で確認すること
Search Consoleの検索クエリを一覧で見て、自社サイトが実際に表示されているのが荷主側の検索か、物流会社側・同業側の検索かを確認します。
同業向けの語や、社名・採用関連の語ばかりが並んでいる場合、荷主の検索接点をまだ持てていない可能性があります。その場合は、記事の追加よりも先に、荷主側の検索を受けるページがあるかどうかを見ることになります。
荷主検索は「サービス × 商材 × 地域 × 条件」で考える
荷主は「物流」「倉庫」「3PL」といった大きな言葉だけで探すとは限りません。自社の事情に合う委託先を探すため、次の4つの軸を組み合わせて検索することがあります。
Service|サービス
3PL、物流アウトソーシング、物流代行、EC物流、フルフィルメント、発送代行、倉庫保管など。
Vertical|商材
食品、冷凍食品、化粧品、医療機器、アパレル、日用品、精密機器、EC商材など。
Region|地域
東京、埼玉、千葉、神奈川、大阪、愛知、福岡、北海道など。
Condition|条件
冷凍・冷蔵、小ロット、多品種、WMS、API、土日出荷、当日出荷、ロット管理、賞味期限管理、流通加工など。
実際の検索は、これらの組み合わせとして現れます。「EC物流」「食品物流」「冷凍倉庫 千葉」「発送代行 小ロット」「化粧品 流通加工」「3PL 関東」といった形です。
ただし、検索語ごとにページを作るわけではありません。組み合わせを機械的に展開すると、実際には検索されていない語や、同じ検索結果しか返さない語まで含めてページ化することになります。
代表的な検索結果を確認し、同じページで受けられる検索需要と、分けるべき検索需要を整理することが必要です。
独自調査では500荷主KWを253検索テーマに整理
| 項目 | 件数 |
|---|---|
| 荷主側検索キーワード | 500件 |
| 物流会社側集客キーワード | 20件 |
| 合計キーワード | 520件 |
| 検索テーマ | 253 |
| ページ母型 | 46 |
| 調査ログ | 100件 |

調査では、代表的な検索結果や実在する物流会社のサービスページ、業界ページ、比較・選定コンテンツなどを確認しながら、検索意図とページの役割を整理しています。
この数字の読み方
数字の意味を取り違えると、そのままページ量産の根拠になってしまうため、範囲を明確にしておきます。
- 500件すべての検索結果を1件ずつ個別精査したものではありません。代表的な検索結果を確認して整理しています
- 253テーマは、厳密なSERP重複率だけで機械的に算出したものではありません。検索意図とページの役割を含めて整理した結果です
- 500キーワード=500ページではありません
- 253検索テーマ=253ページではありません
- 46のページ母型=46ページを作る推奨ではありません
500 荷主検索KW
↓
253 検索テーマ
↓
46 ページ母型
↓
自社に必要なページだけを選定
46のページ母型は、物流領域の検索市場全体にどんな型のページがあり得るかを整理したものです。1社が46ページすべてを作る前提ではありません。冷凍食品の保管を主力にする会社と、EC発送代行を主力にする会社では、必要な母型が変わります。
なぜ、この整理が必要になるのか
キーワードを集めただけの一覧を出発点にすると、似た語ごとにページを作る発想になりがちです。その結果、内容が重なるページが増え、どのページが主担当なのか分からなくなることがあります。
キーワードを検索テーマにまとめ、テーマごとに主担当URLを決めておくと、新しいキーワードが出てきたときに「新規ページを作るか、既存ページに含めるか」を判断できるようになります。
キーワードから検索テーマ、主担当URL、サイト構造へ落とし込む手順は、物流会社のSEOキーワード・サイト構造設計で詳しく扱っています。
キーワード選定は検索ボリュームだけで決めない
物流会社のキーワード選定では、少なくとも次を確認します。
- 検索者が荷主なのか、同業・学習目的なのか
- 自社がその案件を受けられるのか(商材、温度帯、ロット、地域)
- 検索意図は情報収集か、委託先探しか
- 検索結果にはどのようなページが並んでいるか(情報記事、サービスページ、拠点ページ、比較サイト、ポータル、物件サイト)
- どのページタイプで受けるべきか
- 既存サイトに、その検索を受ける担当URLがあるか
判断が分かれる例
「物流アウトソーシング」のような大きな語は、検索する人の状況が幅広く、比較サイトや大手企業のページが並ぶことがあります。一方「冷凍倉庫 千葉」は検索する人の数は少なくても、地域と温度帯が決まっている分、委託先探しに近い検索である可能性があります。
自社が千葉に冷凍倉庫を持ち、そこに余力があるなら、後者の優先順位が上がる場合があります。逆に、千葉に拠点がなければ、同じ語でも優先順位は下がります。
つまり、検索ボリュームは判断材料の1つであって、優先順位そのものではありません。
また、キーワードツールの数値は、多くの場合まとめられた推定値です。表示上ゼロに近い語でも実際の商談につながる検索は存在し得ます。数値だけで切り捨てず、自社の受注実績や営業の感覚と突き合わせて判断します。
キーワードをサイト構造へ落とし込む
SEOキーワード調査の成果物は、キーワード一覧ではありません。
どの検索需要を、どのURLが担当するかを整理したサイト設計図です。
整理の流れは次のようになります。
キーワード
↓
検索意図
↓
検索テーマ
↓
主担当URL
↓
ページ役割
↓
内部リンク
物流会社では、たとえば次のようなページタイプを使います。
- サービスページ
- 商材別ページ
- 地域・拠点ページ
- 条件ページ
- 比較・選定コンテンツ
- 課題解説記事
- 導入事例
- FAQ
検索テーマごとに「主担当URL」を決め、そのURLを関連ページが補助する形にします。主担当が決まっていないテーマは、複数ページで内容が重なり、どのページも中途半端になる可能性があります。
どの検索を、どのページタイプで受けるか
ページタイプの候補は複数ありますが、すべての物流会社にすべてが必要なわけではありません。検索語だけで決めず、実際の検索結果・既存ページ・自社の事業内容の3つを見て判断します。
| 検索例 | 検索している人の状況(推定) | 受け皿の候補 | 判断のポイント |
|---|---|---|---|
| EC物流 | 委託先やサービス内容を探している可能性 | サービスページ | 自社にEC物流のサービスページがあるか。既存ページが情報記事的な内容になっていないか |
| EC物流とは | 用語・仕組みを調べている可能性 | 情報記事 | 解説をサービスページに詰め込むと、検討層向けの情報が埋もれる場合がある |
| 冷凍倉庫 千葉 | 地域と温度帯を絞って探している可能性 | 拠点ページ/地域ページ/サービスページ | 千葉に実際の冷凍拠点があるか。検索結果に物件サイトやポータルが並んでいないか |
| 発送代行 小ロット | 条件で絞って探している可能性 | サービスページ内の一節/独立ページ | 小ロットが自社の主力条件か。独立ページにするだけの固有情報があるか |
| 化粧品 流通加工 | 商材+作業内容で探している可能性 | 商材ページ/サービスページ | 化粧品の受託実績・作業内容を具体的に書けるか |
判断のときに見るのは、次の3点です。
1. 実際の検索結果に、どの種類のページが並んでいるか
情報記事ばかりが並ぶ検索に対して、サービスページを作っても、検索者が求めているものと合わない場合があります。逆に、事業会社のサービスページが並んでいる検索であれば、自社もサービスページで受ける候補になります。比較サイトやポータル、物件サイトが上位を占めている場合は、自社ページで上位に入りにくい可能性があるため、優先順位を考え直します。
2. 既存ページで受けられないか
新規ページを作る前に、既に近いテーマを扱っているページがないかを確認します。ある場合は、そのページを強化するほうが早い可能性があります。
3. 独立ページにするだけの固有情報があるか
「発送代行 小ロット」を独立ページにするなら、小ロット特有の運用、最低ロット、料金の考え方、対応実績など、他のページと重複しない内容が必要です。書ける内容が既存サービスページと大差ないなら、独立させずセクションとして扱う判断もあります。
1キーワード=1ページにはしない
似た表現だからといって、すべて別URLにする必要はありません。
たとえば「物流アウトソーシング」「物流委託」「物流外注」は、検索意図や検索結果を確認した結果、同じサービスページで対応できる場合があります。
判断基準は、同じページで検索者の判断に必要な情報を十分に提供できるかです。
同じページで扱うことで検索意図やページの役割が曖昧になる場合は、分ける候補になります。一方、分けても検索者に提供する情報や自社のサービス内容がほとんど重なる場合は、統合して主担当URLを明確にする候補になります。
サービスページをSEOの受け皿にする
物流会社のサービスページで重要なのは、SEO用の文章量ではありません。
荷主が「自社の案件を相談できる会社か」を判断するための情報です。
検索順位が上がっていても、荷主が自社案件に対応できる会社かどうかを判断できなければ、比較・問い合わせへ進みにくい場合があります。
荷主が確認しようとする項目
- 何をどこまで委託できるのか(入荷、保管、流通加工、出荷、返品、在庫管理)
- 対応商材(食品、化粧品、アパレル、医療機器など)
- 温度帯(常温、定温、冷蔵、冷凍)
- 流通加工の内容(ラベル貼付、セット組、検品、ギフト包装など)
- 倉庫設備(保管形態、床面積、バース、ラック、冷凍設備)
- WMS・OMSの有無と、既存システムとの連携方法
- 拠点の所在地と、配送対応範囲
- 対応できるロット・物量の幅
- 実績・事例
- 問い合わせから稼働開始までの流れ
ただし、全ページに全項目を書くわけではない
項目を並べることが目的ではありません。そのページが受ける検索の荷主にとって、判断に必要な項目を厚く書きます。
たとえば、冷凍食品の保管を受ける荷主向けページであれば、温度帯、庫内の温度管理、賞味期限管理、入出庫の条件が中心になります。EC発送代行のページであれば、出荷締め時間、当日出荷の可否、カートシステムとの連携、返品対応、小ロットの扱いが中心になります。同じ会社のページでも、必要な情報の重心は変わります。
自社で確認すること
- 主要なサービスページを読んで、「どんな商材の、どんな条件の荷主向けか」が分かるか
- 商談でよく聞かれる質問のうち、ページに書かれていないものはどれか
- 受託できない条件が書かれているか(書いておくと、対象外の問い合わせを減らせる場合があります)
- ページの最後まで読んだ荷主が、次に何をすればよいか分かるか
サービスページの構成や書き方は、物流会社のサービスページSEOで詳しく扱っています。
コンテンツSEOはサービスページを補助する
情報記事は不要ではありません。
ただし、記事を「SEOのために本数を増やすもの」として扱うと、一般論の解説が積み上がるだけになる可能性があります。
記事の企画は、次の順で考えます。
受注したい案件
↓
その荷主が検索しそうな検索テーマ
↓
記事で受けるか、サービス・拠点ページで受けるか
↓
現場・営業の一次情報を集める
↓
サービス・拠点・事例への導線を設計する
物流記事に入れられる一次情報の例
一般的な用語解説だけでは、他社の記事と差がつきにくくなります。自社にしかない情報としては、次のようなものがあります。
- 商談でよく聞かれる質問と、その回答
- 対応できない条件と、その理由
- 温度帯ごとの運用の違い(庫内温度、荷役時の温度管理など)
- ロットや物量による作業・料金の考え方の違い
- WMSの導入・連携で実際に確認する項目
- 流通加工の作業内容と、受託時に決めること
- 委託開始時に荷主と確認する条件(在庫データ形式、出荷締め、繁忙期の物量など)
- 現場運用で起きやすい問題と、その対処
こうした情報は、Web担当者だけでは書けません。営業や現場から集める前提で企画します。
記事を出したあとは、記事のPVだけでなく、サービスページへの遷移があるか、問い合わせや商談につながっているかを、可能な範囲で確認します。
記事テーマの選び方、一次情報の集め方、リライトの判断は、物流会社のコンテンツSEOで詳しく扱っています。
内部リンクでページの役割をつなぐ
内部リンクは、順位を操作するために本数を増やすものではありません。読者が次に確認したいページへ移動できるようにするものです。
物流会社のサイトでは、たとえば次のような流れが想定されます。
情報記事(3PLとは、EC物流の委託先の選び方など)
↓
サービスページ(EC物流、流通加工など)
↓
拠点ページ(対応地域・設備・温度帯)
↓
導入事例
↓
問い合わせ
ただし、すべての記事がこの一本道をたどるわけではありません。「冷凍倉庫 千葉」で拠点ページに直接入ってきた荷主は、そこからサービス内容や事例を確認する順序になります。
判断の基準は1つです。このページを読み終えた読者が、次に確認する必要があるのは何か。それを置きます。
アンカーテキストは「こちら」だけにせず、リンク先の内容が分かる表現にします。「冷凍・定温倉庫の対応条件を見る」「千葉拠点の設備を見る」のように書けば、読者はクリック前に内容を判断できます。
自社で確認すること
- サービスページから、対応拠点・事例・問い合わせへ進めるか
- 記事から、関連するサービスページへ進めるか
- 逆に、記事同士だけがつながって、サービスページに戻れない状態になっていないか
内部リンクを含むサイト構造の設計は、物流会社のSEOキーワード・サイト構造設計で扱っています。
地域・拠点ページは実態に基づいて作る
地域を含む検索は、物流会社にとって重要な接点になり得ます。
- 地域名+倉庫(例:千葉 倉庫)
- 地域名+物流(例:埼玉 物流会社)
- 3PL+地域(例:3PL 関東)
- 商材+地域(例:食品 倉庫 大阪)
一方で、地域ページは最も量産されやすく、最も問題が起きやすい領域でもあります。
避けること
- 都道府県ページを機械的に量産しない。 地名だけを差し替えたページが並ぶと、どのページも固有の情報を持たない状態になります
- 拠点がない地域で、拠点があるように見せない。 問い合わせ後に対応できないことが分かれば、荷主の判断コストも自社の営業工数も無駄になります
- 所在地と、営業・配送の対応地域を混同しない。 「千葉に倉庫がある」と「千葉から関東一円へ配送できる」は別の情報です。荷主が知りたいのはどちらかを踏まえて書き分けます
- 拠点ページを住所と地図だけで終わらせない。 それだけでは委託先としての判断材料になりません
どのページで受けるかは、検索結果と事業内容で判断する
「冷凍倉庫 千葉」のような検索を、地域ページで受けるのか、拠点ページで受けるのか、サービスページで受けるのかは、一律には決まりません。
- 検索結果に物件サイトや倉庫マッチングのポータルが並んでいる場合、自社の一般的な地域ページでは上位に入りにくい可能性があります
- 千葉に実際の冷凍拠点があるなら、設備・温度帯・面積・入出庫条件まで書ける拠点ページのほうが、荷主の判断材料になりやすい場合があります
- 拠点はないが配送対応はしている地域であれば、地域ページを作るより、サービスページ内で対応範囲として説明する判断もあります
拠点ページに入れる情報の例
- 所在地とアクセス(最寄りIC、港湾・空港からの距離)
- 倉庫面積、保管形態、バース数
- 温度帯(常温、定温、冷蔵、冷凍)
- 設備(ラック、冷凍設備、検品スペース、流通加工スペース)
- その拠点で対応できる商材
- 配送対応範囲
- その拠点固有のサービス(流通加工、輸出入対応など)
地域・拠点ページの設計は、物流会社の地域SEO・拠点ページSEOで詳しく扱っています。
新規ページを作る前に、既存ページを棚卸しする
新しいページを増やす前に、いま持っているページがどう評価され、どんな役割を果たしているかを確認します。
Search Consoleで、ページごとに「実際に表示・クリックされているクエリ」を見ると、想定と実態のずれが見つかることがあります。
| 状態 | 見えている内容 | 判断の候補 |
|---|---|---|
| A | すでに上位にあり、検索意図とも合っている | 不用意な全面リライトをしない。触るなら、情報の追加や導線の追加にとどめる |
| B | 表示はあるが、想定と違うキーワードで評価されている | 実際の表示クエリ、タイトル、見出し、ページの役割を確認する。ページの役割を実態に合わせるか、想定クエリ向けの内容を補うかを判断する |
| C | 似た内容のページが複数ある | どれが主担当かを決め、統合するか、役割を分けるかを検討する |
| D | 重要なテーマなのに、受け皿となるページがない | 新規ページの候補になる |
「順位が低い=リライト」とはしない
順位が低い理由は、内容の質だけとは限りません。
- そもそも検索結果を比較サイトやポータルが占めていて、事業会社のページが入りにくいテーマである
- ページの役割と検索意図がずれている(情報収集の検索を、サービス案内のページで受けている、など)
- 主担当が決まっておらず、似たページ同士で評価が分散している
原因が構造側にある場合、本文を書き直しても状況は変わらない可能性があります。まず、どのクエリで表示されているか、そのクエリの検索結果に何が並んでいるかを確認してから、リライトか、統合か、役割の変更かを判断します。
既存ページの棚卸しと役割整理を中心に進めた支援の例は、物流会社のSEO支援事例で扱っています。
SEOと問い合わせ導線を一体で考える
検索順位が上がることと、問い合わせが増えることは同じではありません。順位、検索流入、問い合わせは別の指標であり、検索流入が増えれば問い合わせが増えるとは限りません。
流入が増えても問い合わせが増えない場合、原因はページ側にあることがあります。次のような点を確認します。
- トップページで、何をしている会社か分かるか。 「総合物流」だけでは、荷主は自社の案件を任せられるか判断できません
- ナビゲーションから、サービス・拠点・事例・問い合わせへたどり着けるか
- サービスページで、対応商材・温度帯・拠点・条件が分かるか
- 拠点ページで、設備と対応範囲が分かるか
- 導入事例が、荷主が自社と重ねられる粒度で書かれているか(商材、物量帯、課題、対応内容)
- CTAが、そのページの読者にとって次の一歩になっているか。 情報収集段階の記事に「お見積り」だけを置いても、進みにくい場合があります
- 問い合わせフォームの項目が多すぎないか。 見積に必要な情報(商材、物量、温度帯、拠点希望、開始時期)と、初回に聞く項目は分けて考えます
- スマートフォンで表示が崩れていないか
- フォームが実際に送信でき、社内に届いているか
フォームの動作確認は基本的な項目ですが、問い合わせが発生しない原因を切り分けるうえで重要です。流入があるのに問い合わせが確認できない場合は、導線や入力項目とあわせて、フォームが正常に送信・受信できるかも確認します。
自社サイトのどこに問題があるかを具体的に確認したい場合は、物流会社のSEOチェックリストを使って点検できます。サイト全体の改善は、物流会社のホームページ改善で扱っています。
物流会社のSEOでよくある失敗
よくある失敗を、「なぜ問題か」「何を確認するか」とあわせて整理します。
1. 大きなキーワードだけを追う
「物流」「倉庫」「3PL」のような語は、検索する人の状況が幅広く、比較サイトや大手が並ぶことがあります。上位に入っても、自社の受託範囲と合わない流入が中心になる可能性があります。→ 自社が受注したい案件に近い検索が、どんな組み合わせで出てくるかを確認します。
2. 検索ボリュームだけでキーワードを選ぶ
数値の大きさは、案件になりやすさとは別です。自社が対応できない商材・地域の語を優先しても、営業成果につながりにくくなります。→ 受託可否と、実際の検索結果に並ぶページの種類をあわせて確認します。
3. 1キーワード=1ページで作る/地域ページを量産する
内容が重なるページが増え、主担当が不明確になります。地名だけを差し替えたページは、荷主にとっても判断材料になりません。→ 検索意図と検索結果が近い語をまとめ、主担当URLを決めます。地域については、実際の拠点と対応範囲を確認します。
4. 記事の本数から施策を始める
「まず月◯本」と決めると、書けるテーマから埋めることになり、受注したい案件と関係の薄い一般論の記事が増えていきます。→ 受注したい案件から検索テーマを決め、記事で受けるべきかを判断します。
5. サービスページが抽象的なまま/拠点ページが住所だけ
荷主が自社の案件を任せられるか判断できません。記事を増やしても、この受け皿は改善しません。→ 商談でよく聞かれる質問がページに書かれているかを確認します。
6. 記事とサービスページがつながっていない
記事同士だけが内部リンクでつながり、サービスページや拠点ページへ戻れない状態です。読者が次の判断へ進めません。→ 各記事から、関連するサービス・拠点ページへの導線があるか確認します。
7. 既存ページを棚卸しせずに新規URLを増やす
すでに評価されているページがあるのに、似た内容の新規ページを作ると、役割が重複します。→ Search Consoleで既存ページの表示クエリを確認してから、新規か強化かを判断します。
8. 順位・PVだけで成果を判断する/問い合わせ内容を確認しない
順位が上がっても、案件として成立しない問い合わせばかりであれば、狙う検索がずれている可能性があります。→ 問い合わせの内容(商材、物量、地域、条件)を営業側と共有し、受注したい案件と合っているかを確認します。
9. SEO会社へ事業情報を渡さずに丸投げする
対応商材、温度帯、設備、受託できない条件といった情報がなければ、荷主の判断材料になるページは作れません。外部に依頼する場合も、一次情報の提供は自社側の作業として残ります。→ 誰が現場・営業から情報を集めるか、社内の担当を決めます。
物流会社のSEOを、どういう順番で判断するか
作業の順番というより、判断の順番として整理します。
STEP 1|増やしたい案件を決める
サービス・商材・地域・条件まで具体化します。ここが決まらないと、以降の優先順位を判断できません。
STEP 2|Search Console・GA4などで現状を把握する
いまどんな検索で表示されているか、どのページが見られているか、問い合わせがどのページから来ているかを確認します。
STEP 3|キーワードと検索テーマを整理する
荷主側の検索を集め、検索意図と代表的な検索結果を確認してテーマにまとめます。
STEP 4|既存ページを棚卸しする
前掲のA〜Dの分類で、強化するページ、統合するページ、役割を変えるページ、新規に必要なページを分けます。
STEP 5|検索テーマごとの主担当URLを決める
どのテーマをどのURLが受けるかを決め、重複を整理します。
STEP 6|サービスページ・拠点ページを改善する
荷主の判断材料になる情報を、実態に沿って具体化します。
STEP 7|必要な情報記事と内部リンクを追加する
受け皿が整ってから、それを補助する記事を追加し、導線をつなぎます。
STEP 8|問い合わせ導線を確認する
CTA、フォーム、スマートフォン表示、フォームの動作を確認します。
STEP 9|検索データと問い合わせ内容の両方で検証する
順位・表示回数・クリックだけでなく、問い合わせの内容が受注したい案件に近づいているかを確認し、次の優先順位を決めます。
この順番は固定ではありません
既存サイトの状態によって、着手する順番は変わります。
- サービスページがすでに整っていて、検索接点だけがない場合は、キーワード整理と記事・地域ページの検討が先になることがあります
- 流入はあるのに問い合わせがない場合は、STEP 8の確認を先に行うほうが早いことがあります
- CMSの制約で新規ページを追加しにくい場合は、既存ページの強化から着手することになります
9つの工程を必ず順番どおりに実施しなければならない、という意味ではありません。自社の状況を確認したうえで、効きそうなところから着手します。
SEOを外部に依頼する場合に確認すること
自社だけで進めるか、外部に依頼するかは、社内の体制によって変わります。外部に依頼する場合は、次のような点を確認します。
- 自社の物流事業(対応商材、温度帯、拠点、受託範囲)を理解しようとしているか
- キーワードだけでなく、URL構成やサイト構造まで見るか
- サービスページ・拠点ページを改善の対象に含めるか
- 記事制作以外の施策も扱うか
- 実装はどこまで行うか(提案のみか、CMSへの反映まで含むか)
- 順位・流入以外に、どの指標で成果を見るか
依頼先の選び方は物流会社のSEO会社・コンサルの選び方、費用の考え方は物流会社のSEO費用・料金で扱っています。
まとめ
物流会社のSEO対策は、コラムを大量に作ることではありません。
判断の順番としては、次のようになります。
- 誰から、どんな案件を増やしたいのかを決める
- 荷主側の検索を、物流会社側の検索と分けて集める
- 「サービス × 商材 × 地域 × 条件」で現れる検索需要を、検索テーマとして整理する
- 検索結果・既存ページ・自社の事業内容から、どのページタイプで受けるかを判断する
- サービスページ・拠点ページに、荷主が判断できる情報を入れる
- 記事と内部リンクで、その受け皿を補助する
- 問い合わせ導線まで確認し、検索データと問い合わせ内容の両方で検証する
重要なのは、
荷主が検索する「サービス × 商材 × 地域 × 条件」を把握し、その検索需要を適切なページで受け止めるサイト構造を作ること
です。
そして、
検索 → サービスページ → 関連情報 → 問い合わせ → 商談
までを一つの導線として設計します。
よくある質問
Q. 物流会社のSEOでは、まず何から始めればよいですか?
獲得したい荷主と、自社が受託できるサービス・商材・地域・条件を整理し、その後に荷主側の検索需要を調べます。「新規荷主を増やしたい」だけでは、キーワードの優先順位を判断できません。
Q. SEO記事は何本くらい必要ですか?
本数を先に決める必要はありません。まずサービスページなどの受け皿を整え、そのページを補助する検索需要について必要な記事を追加します。適切な本数は、既存ページの状態と狙う検索テーマによって変わります。
Q. 1キーワードにつき1ページ必要ですか?
必要ありません。検索意図と検索結果が近いキーワードは、同じ主担当URLで対応できる場合があります。同じページで検索者の判断に必要な情報を提供できるかどうかで判断します。
Q. 地域ごとに倉庫ページを作るべきですか?
実在する拠点や地域固有の情報があり、検索結果を確認したうえで独立ページが適切と判断できる場合に作ります。拠点がない地域のページを機械的に増やすことは避けます。
Q. 500キーワードや46のページ母型は、そのままページ数の目安になりますか?
なりません。500件は荷主側の検索キーワードの件数、253は検索テーマの数、46は市場全体を整理するためのページの型です。1社が作るページ数とは別です。自社の事業に必要な型だけを選びます。
Q. 検索順位が上がれば問い合わせは増えますか?
順位、検索流入、問い合わせは別の指標です。順位が上がっても、ページ上で荷主が判断できる情報がなければ、問い合わせに進みにくい場合があります。流入だけでなく、問い合わせの内容まで確認します。
Q. SEOの成果は何で判断すればよいですか?
順位・流入だけでなく、問い合わせ内容、商談、見積、受注まで可能な範囲で確認します。問い合わせが増えても、受注したい案件と内容がずれていれば、狙う検索を見直す判断になります。
物流・倉庫会社のSEOをご相談ください
ツリーズコンサルティングでは、物流・倉庫・3PL会社向けに、検索市場の整理、キーワード設計、サイト構造、サービスページ改善、コンテンツSEO、内部リンク、問い合わせ導線、効果検証を支援しています。
どの検索需要をどのページで受けるか、既存ページをどう整理するかといった段階からご相談いただけます。