EC物流・フルフィルメント会社のSEO対策|通販事業者の問い合わせにつなげる方法

EC物流・フルフィルメント・発送代行のサイトを拝見すると、「EC物流をワンストップで支援」「小ロットから柔軟に対応」といった言葉は掲載されているものの、その会社が実際にどの規模の事業者を、どのカートやOMSとつないで、どの締め時間で、どこまでの作業まで受託できるのかが読み取れない、というケースがあります。

物流の委託先を探しているEC・通販事業者が見ているのは、抽象的な言葉ではなく運用条件です。自社の出荷件数で受けてもらえるか、SKU数に対応できるか、使っているカートやOMSとデータをやり取りできるか、当日出荷の締め時間は何時か、ギフト包装や同梱を任せられるか、返品と交換はどこまで処理してもらえるか、セール時の物量増加に耐えられるか、どの拠点で対応するのか。この判断材料がサイト上になければ、検索から人が来ても、問い合わせの手前で離脱している可能性があります。

一方で、「EC物流」「発送代行」という語の順位を上げれば案件が増える、という話でもありません。これらの語で検索している人のなかには、委託先を探している通販事業者も、料金相場を調べている担当者も、開業前の情報収集をしている人も、同業他社も混ざります。順位が上がって流入が増えても、問い合わせ内容が自社の受託条件と合うとは限りません。

この記事では、EC物流・フルフィルメント・発送代行事業者の経営者・営業責任者・Web担当者の方に向けて、次の流れでサイト設計を整理します。

EC事業者はどんな条件で委託先を探すのか

自社はどの検索需要を受けるべきか

どのページで受けるか

何を書けばEC事業者が委託可否を判断できるか

問い合わせへどうつなぐか

届いた問い合わせが、本当に受けたかった案件かを確認する

3PL全般のサイト設計(商材・温度帯・拠点・一括受託と部分委託の境界など)は「3PL会社のSEO対策」で扱っています。この記事は、そのなかでもEC・通販事業者からのBtoC出荷を中心に受ける会社が、自社サイトをどう設計するかに絞ります。

目次

本文

「EC物流を増やしたい」では、まだ設計が始められない

SEOの相談をいただくとき、最初に確認するのは「どのキーワードを狙うか」ではありません。どんなEC事業者から、どんな案件の相談を増やしたいかです。

「EC物流の問い合わせを増やしたい」という要望は、そのままではサイト設計に落ちません。EC物流と一口に言っても、案件によって現場の負荷も、必要なシステム連携も、採算の構造も変わるためです。

たとえば、次のような案件は、同じ「EC物流」でも中身が違います。

  • 月数百件程度の小ロット発送を、まず外部に出したい通販事業者
  • SKUが多く、カラー・サイズ展開のあるアパレルEC
  • 賞味期限や温度帯の管理が前提になる食品EC
  • ギフト包装・同梱・セット組の作業比率が高い化粧品D2C
  • 自社ECに加えて複数モールに出店していて、在庫を按分している事業者
  • BtoC出荷とBtoB(店舗・卸)出荷の両方を持っている事業者
  • 定期通販で、毎月決まった時期に出荷が集中する事業者

ここで、「この規模ならこの体制」「この件数以上なら受託可能」といった基準を先に作る必要はありません。実際の受託可否は、出荷件数だけでなく、SKU数、保管量、1件あたりの点数、作業内容、繁忙期の振れ幅の組み合わせで変わることがあるためです。

なぜ先にここを決めるのか。EC物流は、受託したあとの運用負荷が案件ごとに大きく変わる業務です。出荷件数が同じでも、同梱物の差し替えが毎月発生する案件と、単品を封筒で送る案件では、現場の工数が違います。獲得したい案件像を決めないままキーワードから入ると、検索需要の大きい語に合わせてページを作ることになり、条件の合わない問い合わせが増え、営業と現場の両方に負荷が残ります。

整理しておく項目の例です。

  • 受託範囲:入荷・検品、保管、在庫管理、受注データ取込、ピッキング、流通加工、梱包、出荷、配送手配、返品処理のうちどこを受けるか
  • 商材:実績と設備の裏付けがある商材、逆に受けていない商材
  • 物量:相談を受けやすい出荷件数・保管量の範囲、繁忙期に吸収できる余力
  • SKU:多SKU・小ロット多品種を扱える体制があるか、ロケーション管理の方法
  • システム:WMSは自社開発か外部パッケージか、OMSの有無、対応済みのカート・モール、連携方式
  • 作業:ギフト、同梱、ラッピング、セット組、ラベル貼付、検品の対応範囲
  • 返品:受入だけか、検品・再入庫・交換品出荷まで含むか
  • 条件:出荷締め時間、当日出荷の条件、土日祝の稼働、対応拠点
  • 移管:他社倉庫・自社出荷からの切り替え経験

そのうえで、優先して増やしたい案件像を決めます。すべてのEC事業者に向けたページは、結果としてどの事業者にも当てはまらない文章になりがちです。

検索キーワードを検索テーマへまとめ、担当URLを決める手順そのものは「物流会社のSEOキーワード・サイト構造設計」で扱っています。この記事では、その手順をEC物流特有の条件に当てはめていきます。

自社で確認すること:直近で受託したEC案件のうち確認できるものを、商材・SKU数・月間出荷件数・保管量・使用カート・流通加工・返品対応・拠点で一覧にしてください。そのうえで「もう1件ほしい案件」と「もう受けたくない案件」を分けると、SEOで狙う方向が決まります。

EC事業者が使う言葉を集め、実際の検索結果で受け皿を決める

EC事業者の検索は、「EC物流」という一語に集約されるわけではありません。自社の状況を言葉にして検索することがあります。

集める際の出発点として、次のような語が挙がります。

検索されている可能性のある言葉検索者の状況として考えられるもの
EC物流/EC物流 委託委託という選択肢を検討している段階の可能性。用語理解の検索が混ざることもある
発送代行/通販 発送代行出荷作業の外部化を前提にしている可能性
発送代行 小ロット物量が少ないことを自覚していて、受けてもらえるかを気にしている可能性
フルフィルメント受注から出荷まで広く任せたい意図の可能性。用語調査も混ざる
通販物流/EC 倉庫/EC 出荷代行保管場所を探している検索と、作業委託を探している検索が混ざる可能性
Shopify 発送代行/楽天 発送代行/Amazon 発送代行使用中のシステム・モールとの連携可否が前提条件になっている可能性
化粧品 発送代行/食品 EC物流/アパレル 物流 委託商材特有の管理や作業が前提条件になっている可能性
EC物流 当日出荷/発送代行 締め時間出荷リードタイムが選定条件になっている可能性
EC 返品 代行/返品業務 外注返品処理の負荷が課題になっている可能性
発送代行 料金/EC物流 費用相場感を調べている段階の可能性。比較サイトが強い場合がある
物流 移管/倉庫 切り替えすでに委託先があり、乗り換えを検討している可能性

ここで重要なのは、この表は「そう検索されている」という断定ではないということです。同じ語でも、検索する人の状況は一様ではありません。「発送代行」には、通販事業者の検索と、ネットショップ開業前の情報収集と、同業他社の調査が混ざることがあります。

判断材料になるのは、実際の検索結果です。その語で検索したときに、どの種類のページが上位に並んでいるかを確認します。

  • 物流会社のサービスページが並ぶ
  • 比較サイト・ポータルが並ぶ
  • 情報記事・用語解説が並ぶ
  • カート・モール事業者側のページが並ぶ
  • 倉庫物件サイトが並ぶ

サービスページが並んでいれば、自社もサービスページで受ける候補になります。比較サイトと用語記事ばかりであれば、サービスページを当てても届きにくく、情報記事で受けるか、その語自体を主戦場にしない判断もあります。検索語の見た目ではなく、検索結果に並ぶページの種類から受け皿を決めます。

自社で確認すること:自社が受けたい案件に近い語を複数書き出し、実際に検索して、上位に並ぶページの種類をメモしてください。「サービスページが並ぶ語」「比較サイトが並ぶ語」「記事が並ぶ語」を分けるだけでも、着手すべきページの型が変わります。

「EC物流」「発送代行」「フルフィルメント」を、サイト上でどう配置するか

この3つの言葉は、会社によってサービス範囲も名称の使い方も異なります。業界全体で厳密に統一された定義があるかのように書くと、かえって実態とずれます。

用語の解説を長く書くことは、この記事の目的ではありませんし、サービスページの目的でもありません。EC物流会社のサイト設計で必要なのは、次の3つの判断です。

1|どの検索テーマを、どのページで受けるか

「EC物流」「発送代行」「フルフィルメント」「通販物流」は、検索結果の傾向と、自社が説明する中身が近ければ、1つのサービスページでまとめて受ける判断があります。逆に、自社のなかで業務範囲が明確に分かれていて、書く内容が変わるのであれば、ページを分けたうえで内部リンクでつなぎます。

分けるかどうかは、語の数ではなく、書き分けられる中身があるかで決めます。

2|自社では何をサービス名として使うか

サイト内で「EC物流サービス」「発送代行サービス」「フルフィルメントサービス」を混在させたまま、それぞれ別ページで似た説明をしていると、事業者から見て違いが分かりません。自社の正式なサービス名称を1つ決め、他の語は同じページ内で「発送代行・通販物流とも呼ばれる領域です」のように併記して受ける方法があります。

3|似たページを増やさない

名称違いのページが並ぶと、検索エンジンにとっても読者にとっても、どれが主担当のページか分かりにくくなります。名称が違うという理由だけでページを分けるのではなく、検索意図や受託範囲、掲載できる内容に明確な違いがある場合にページを分けると考えると整理しやすくなります。

ツリーズコンサルティングの独自調査では、荷主側の検索キーワード500件を、検索意図と代表的な検索結果を確認しながら253の検索テーマへ整理し、さらにページの型として46のページ母型へ整理しています。この整理で示しているのは、500キーワードが500ページになるわけではないということです。表記が違っても、知りたいことと検索結果が近い語は、1つの検索テーマとして1ページで受けられる場合があります。また、46のページ母型は「46ページ作れば良い」という意味ではありません。自社の受託範囲に関係する母型だけを選びます。

検索テーマへのまとめ方、主担当URLの決め方、カニバリの避け方は「物流会社のSEOキーワード・サイト構造設計」で詳しく扱っています。

自社で確認すること:自社サイト内で「EC物流」「発送代行」「フルフィルメント」「通販物流」が使われているページをすべて洗い出し、それぞれのページで説明している受託範囲が違うのか、名称だけが違うのかを確認してください。名称だけが違う場合は、主担当URLを決める対象になります。

EC物流サービスページで、事業者が自社の条件と突き合わせている項目

サービスページ単体の書き方(項目の粒度、数値をどこまで出すか、対応できない条件の書き方)は「物流会社のサービスページSEO」で扱っています。ここでは、EC物流特有の項目に絞ります。

EC事業者が確認しうる項目を並べると、おおむね次の範囲になります。

受託範囲

  • 入荷・入荷検品、入荷方法(宅配、パレット、海外からの直送など)
  • 保管、ロケーション管理、在庫管理
  • 受注データの取り込み、出荷指示の方法
  • ピッキング、出荷検品、梱包、出荷
  • 返品・交換
  • 受注対応・CS業務を含むかどうか

物量とSKU

  • 相談を受けやすい出荷件数の考え方
  • SKU数の考え方
  • 保管量の考え方
  • 1件あたりの平均点数

システム

  • WMS(自社開発か外部パッケージか、荷主が在庫をどこまで確認できるか)
  • OMSの有無と役割
  • 対応済みのECカート・モール
  • API/CSVなど連携方式
  • 新規連携時に開発が必要かどうか

出荷条件

  • 出荷締め時間、当日出荷の条件
  • 土日祝・年末年始の稼働
  • 利用する宅配会社、配送料の考え方
  • 対応拠点

流通加工

  • ギフト包装、のし、メッセージカード
  • 同梱物の封入、サンプル同梱
  • セット組、ラベル貼付、シュリンク
  • 検品の内容

進め方

  • 見積に必要な情報
  • 導入・移管の流れ
  • 問い合わせ後の進み方

ここで重要なのは、すべての会社がこの全項目を書くべきだ、という話ではないことです。項目を網羅すると、ページは長くなりますが、読み手が判断に使う情報は埋もれます。

選び方の考え方は、「自社が受けたい事業者が、問い合わせの前に確認したくなる項目から書く」です。たとえば、小ロットの新規事業者を増やしたいのであれば、物量の考え方と最低料金の有無、初期費用の考え方が先に必要になります。多SKUのアパレルEC向けであれば、SKU管理とロケーション、返品と再販判定の説明が先に来ます。ギフト比率の高い商材を狙うなら、加工作業の種類と資材の扱いが先です。

自社で確認すること:自社のEC物流サービスページを、獲得したい事業者になったつもりで上から読み、「自社が委託できるかどうか」を判断できない箇所に印をつけてください。印がついた項目が、書き足す候補です。

「小ロット対応」は、そのままでは判断材料にならない

EC物流のサービスページで最も多く見かける表現のひとつが、「小ロットから対応可能」です。

この一文だけでは、読み手は自社が対象なのか判断できません。月間数十件の出荷を小ロットと考えている事業者もいれば、月間数千件を小ロットと考えている事業者もいます。書いた側の想定と、読み手の想定が一致している保証がありません。

かといって、「月◯件以下が小ロット」という基準を作る必要はありませんし、根拠のない数値を目安として書くことは避けてください。問い合わせ後に条件が合わないことが判明し、双方の工数が増えます。

書けることは、数値そのものではなく、受託可否がどの条件で変わるのかです。

  • どの程度の物量帯を相談対象としているか(明確な下限がないなら、その旨)
  • 最低利用料金や最低保管料の有無、初期費用の有無
  • 出荷件数だけでなく、SKU数と保管量の組み合わせで判断していること
  • 1件あたりの点数や作業内容によって単価の考え方が変わること
  • 出荷が増えたときに、同じ拠点で対応を広げられるのか
  • 逆に、現時点では相談が難しい条件があるなら、その条件

なぜこう書くのか。小ロットの案件は、出荷件数が少ない一方で、初期の連携設定や作業設計の手間は大きい案件と変わらないことがあります。そのため、件数だけで一律に線を引くと実態と合いません。「出荷件数だけでは判断できない」ということ自体を書いたほうが、読み手にとっては正確な情報になります。

数値を公開できない事情がある場合は、次のような書き方が候補になります。

出荷件数の下限は設けていませんが、SKU数、保管量、1件あたりの点数、必要な作業内容によってお受けできる条件が変わります。現在の月間出荷件数とSKU数、保管量の目安をお知らせいただければ、お受けできるかどうかを先にご返答します。

これは架空の記入例ですが、「小ロット対応可」の一文よりは、読み手が次の行動を取れます。

自社で確認すること:自社ページの「小ロット」という語を検索し、その前後に条件が書かれているかを確認してください。書かれていない場合、営業が問い合わせ時に必ず聞いている項目を並べると、そのままページに書ける内容になることがあります。

WMS・OMS・カート連携は「対応可」で止めない

システム連携は、EC事業者にとって委託先選定の前提条件になることがあります。受注データを取り込めない、在庫が同期できない、追跡番号を戻せない、という状態では日々の運用が回らないためです。

にもかかわらず、サイト上の記載が「WMS導入済み」「API連携対応」で止まっていることがあります。これでは、読み手は自社の環境でつながるかどうかを判断できません。

事業者が知りたいのは、おおむね次の点です。

  • 何と連携できるのか:対応済みのカート・モール、OMS、基幹システムの実績
  • どの方式か:API連携か、CSVの受け渡しか、専用の連携ツールか
  • どのデータを渡すのか:受注データ、商品マスタ、同梱指示、ギフト指定、配送指定
  • どのデータが戻るのか:出荷実績、追跡番号、在庫数、返品情報
  • 在庫をどこまで確認できるのか:WMSの画面を荷主側が見られるのか、日次のデータ提供か
  • 同期のタイミング:リアルタイムか、定時か
  • 新規連携時に開発が必要か:既存の仕組みで対応できるのか、個別開発が必要なのか、その場合の進め方
  • CSV運用でも可能か:APIがない環境や、初期段階でのCSV運用を受けられるか

ここで注意したいのは、特定のカートやシステムの一般的な仕様を、自社サイトで断定して説明しないことです。仕様やプランは変わることがあり、事業者側の契約内容によっても異なります。書くのは「自社での連携実績と、自社での対応方式」に限ると、記載が古くなったときのリスクも小さくなります。

また、未対応のシステム名を検索目的で列挙しないという点も重要です。対応していないカート名を並べると、問い合わせ段階で条件不一致が判明し、事業者側にも自社の営業にも負担が残ります。

CSV運用を受けられる場合、その旨を書いておくことには意味があります。API連携ができる体制であっても、事業者側の担当リソースや初期の立ち上げ段階では、CSVで始めたいという状況があるためです。

自社で確認すること:自社ページのシステム関連の記載を読み、「何と」「どの方式で」「どのデータを」の3点が書かれているかを確認してください。現場と情報システム担当に確認すれば、すでに社内にある情報であることが多い項目です。

カート名・モール名でページを分けるかどうか

「Shopify 発送代行」「楽天 発送代行」「Amazon 発送代行」のような語は、検索需要が見込めそうに思えるため、カート・モールごとに独立ページを作る案が出ることがあります。

ただし、カートごとにページを作るべきだという前提で進めることはおすすめしません。中身が同じページを並べても、読み手にとって判断材料が増えないためです。

独立ページを検討する条件は、次のすべてに近い状態がそろっているかどうかです。

  • 実際にそのカート・モールとの連携実績がある
  • その語で検索需要が確認できる
  • 実際の検索結果を見たとき、他の語とは並ぶページの傾向が異なる
  • そのシステム固有の連携方式・運用情報を書ける(取り込めるデータ、注意点、モール特有の同梱・納品書要件など)

このうち最後の条件を満たせない場合、独立ページを作っても、EC物流サービスページと内容がほぼ重なります。その場合は、サービスページ内に「対応カート・モール一覧」と「連携方式の説明」を置き、そこで受ける候補になります。

なぜそう判断するか。似た内容のページが複数あると、どのページを主担当にするかが決まらず、内部リンクの設計も曖昧になります。ページを増やすこと自体より、1ページあたりの判断材料が増えることのほうが、問い合わせ前の比較検討では効きやすい場面があります。

なお、モール出荷特有の要件(納品書の扱い、指定資材、SKUコードの持ち方など)を具体的に書けるのであれば、それは独立ページの中身になります。書ける情報があるかどうかを先に確認し、そのうえでページを分ける順序が現実的です。

自社で確認すること:カート・モール別ページの案が出たら、そのページに「EC物流サービスページには書けない、そのカート・モール固有の連携・運用情報」が十分にあるか確認してください。固有情報が乏しい場合は、サービスページ内の一項目として扱う候補になります。

商材別ページは「その商材でしか書けないこと」があるかで決める

商材別ページ(化粧品EC、食品EC、アパレルEC など)も、同じ考え方で判断します。

商材によって、事業者が確認する項目は変わります。

化粧品EC

  • 外装・パッケージの取り扱い、化粧箱の破損防止
  • ロット・使用期限の管理
  • サンプルやノベルティの同梱
  • ギフト対応、ラッピング
  • 定期便の出荷サイクル
  • 許認可や表示に関する社内での取り扱い

食品EC

  • 温度帯(常温・冷蔵・冷凍)と対応拠点
  • 賞味期限・消費期限の管理、先入れ先出しの運用
  • クール便の扱い、同梱可否
  • 衛生管理上の運用
  • 季節性の強い出荷波動

アパレルEC

  • SKU数の多さ(カラー・サイズ展開)とロケーション管理
  • 検針、たたみ、アイロン、タグ付けなどの加工
  • 返品率が相対的に高くなりやすい前提での返品・再販判定
  • シーズン切り替え時の在庫移動、セール時の出荷集中

これらを書ける商材であれば、独立ページの候補になります。逆に、既存のEC物流ページをコピーして商材名だけを差し替えたページは、増やさないほうが扱いやすくなります。読み手にとって新しい情報がなく、サイト内での役割も重複するためです。

商材別の判断材料の違いは、3PL全般でも共通する部分があります。EC以外の受託も含めた商材ページの考え方は「3PL会社のSEO対策」で扱っています。

自社で確認すること:商材別ページの案がある場合、その商材の現場担当者に「この商材だからこそ必要になる作業・管理は何か」を確認してください。商材固有の内容を具体的に説明できる場合は独立ページの候補、既存のEC物流サービスページとほとんど内容が変わらない場合は、サービスページ内で扱う候補になります。

出荷締め時間・当日出荷・波動対応をどう書くか

出荷条件は、EC事業者が自社サイトで購入者に案内している内容と直結します。そのため、検討の初期段階で確認される項目です。

「当日出荷対応」と書くだけでは足りない

「当日出荷対応」とだけ書かれていると、何時までの注文が対象なのかが分かりません。事業者側は、自社の商品ページに「◯時までのご注文で当日出荷」と書けるかどうかを判断したいので、締め時間まで書かれていないと確認の問い合わせが必要になります。

記載する内容の候補です。

  • 平日の受注データ取り込みの締め時間
  • 締め時間を過ぎた注文の扱い
  • 土日祝の稼働状況と、対応する場合の条件
  • 年末年始・長期休暇の扱い
  • 当日出荷の対象外になる条件(大量注文、特殊加工、指定資材の在庫切れなど)
  • 利用する宅配会社と、主要エリアの配送リードタイムの目安

条件付きで書くことをおすすめします。たとえば「原則として平日◯時までにお預かりした受注データは当日出荷、ただし物量・作業内容により変動します」という形です。あらゆる注文に必ず対応できるかのような書き方は、受注後の運用で無理が出ます。

締め時間を明記すると、条件が合わない事業者からの問い合わせは減ります。ただしそれは損失ではなく、運用に乗らない案件を早い段階で切り分けられるという意味を持ちます。

なお、拠点が複数ある場合、どの拠点で受けるかによって締め時間も配送リードタイムも変わります。拠点ごとの対応内容をどこまでサイトに出すかという設計は「物流会社の地域SEO・拠点ページSEO」で扱っています。

繁忙期・波動対応は「柔軟」で終わらせない

セール、キャンペーン、季節波動、ギフトシーズン、テレビやSNSでの露出後の急な出荷増。EC物流では、平常時の物量だけで判断できない場面があります。

ここで、「◯倍まで対応可能」といった能力値を書くことは避けてください。実際の吸収余力は、その時期に稼働している他の荷主の状況、人員の確保状況、資材の在庫によって変わります。裏付けのない数値をサイトに書くと、繁忙期に問題が起きたときに説明できなくなります。

代わりに書けるのは、波動に対してどう備える運用になっているかです。

  • 繁忙期の物量見込みを、いつまでに共有してほしいか(事前連絡のリードタイム)
  • 事前連絡があった場合の体制の組み方(人員、シフト、作業スペース)
  • 急な増加が発生したときの連絡フローと、優先順位の決め方
  • 出荷が集中したときに、当日出荷の締め時間や納期案内がどう変わりうるか
  • 資材の事前手配が必要な作業(ギフト、同梱物など)の準備期間
  • 過去に対応してきたセール・イベントの種類(数値を出さずに書ける範囲で)

なぜこの書き方か。事業者が知りたいのは「無限に対応できるか」ではなく、「自社のセール時に、どう連携すれば出荷が回るか」です。事前連絡のリードタイムや連絡フローが書かれていれば、それ自体が運用イメージになります。

自社で確認すること:自社ページに「当日出荷」「繁忙期」「柔軟」という語がある箇所を確認し、その周辺に締め時間・条件・連絡の進め方が書かれているかを見てください。書かれていない場合、現場が実際に運用しているルールをそのまま文章にできる場合があります。

返品・交換は、どこまで受けるかを書く

返品対応は、EC物流のなかでも会社によって受託範囲が分かれる領域です。どこまで対応するかを具体的に示しておくと、EC事業者が自社の運用に合うかを判断する材料になります。

返品まわりの業務は、細かく分けると次のように分かれます。

  • 返品の受入(返送先の設定、到着物の受領処理)
  • 返品品の開梱・内容確認
  • 検品(外観、数量、付属品の有無)
  • 良品・不良品の判定
  • 再販可否の判断(判断の基準と、判断する主体)
  • 再入庫(在庫への戻し、システム反映)
  • 再販不可品の保管、返送、廃棄
  • 交換品の出荷
  • 返品情報の報告(頻度、フォーマット)

すべてを受託する必要はありません。重要なのは、どこまでを倉庫側が行い、どこから荷主側の判断になるのかを明示することです。

たとえば、次のような書き分けが考えられます(架空の記入例です)。

返品品の受入・開梱・外観検品・数量確認までを当社で行い、再販可否の判定基準はご相談のうえ設定します。基準内の商品は再入庫し、判断が分かれる商品は画像を添えてご確認をお願いしています。交換品の出荷にも対応しています。

この書き方であれば、事業者は自社の運用に当てはめて考えられます。逆に「返品対応可」だけでは、受入だけなのか、判定まで含むのかが分かりません。

サイズ違いなどによる返品が発生する商材や、返品後の検品・再販判定が必要な商材を扱う事業者にとっては、この記載の有無が問い合わせ判断に影響することがあります。

自社で確認すること:自社の返品業務を、上記の工程単位で「受けている/受けていない/条件付き」に分類してください。分類した結果をそのまま並べるだけでも、ページの記載としては成立します。

抽象的なEC物流ページを、判断できるページへ書き換える

書き方の違いを示すための記入イメージです。以下は架空の例であり、実在する企業の事実ではありません。 実際には自社で確認できる事実だけを書いてください。

改善前

EC物流をワンストップで支援します。小ロットから柔軟に対応し、お客様のビジネスの成長をサポートします。豊富な実績とノウハウで、通販事業者様の物流課題を解決します。

この文章から事業者が読み取れることは、ほとんどありません。どの規模から相談できるのか、どのカートとつながるのか、締め時間は何時なのか、返品やギフトを任せられるのか、どこの拠点で対応するのかが分かりません。判断できないため、他社と比較する材料にもなりません。

改善後

関東◯拠点で、入荷検品・保管・在庫管理・受注データ取込・ピッキング・梱包・出荷・返品処理まで対応しています。出荷件数の下限は設けていませんが、SKU数・保管量・作業内容によってお受けできる条件が変わるため、まず現在の出荷状況をお知らせください。受注データは主要カート・モールとのAPI連携とCSV取込の両方に対応し、出荷実績と追跡番号を返送します。在庫はWMSの画面でご確認いただけます。平日◯時までにお預かりした受注データは当日出荷(物量・作業内容により変動)、土曜は◯曜の条件で稼働しています。ギフト包装・のし・メッセージカード・チラシ同梱・セット組に対応し、資材は支給・当社手配のどちらも可能です。返品は受入・検品・再入庫まで対応し、再販可否の基準は事前に取り決めます。

何が変わったか

改善後の文章は、単に長くなったわけではありません。変わったのは、事業者が自社の条件と突き合わせられる情報になったことです。

改善前の表現改善後に置き換わったもの
ワンストップで支援入荷検品から返品処理までの工程の明示
小ロットから柔軟に対応下限を設けていないこと、判断が変わる条件(SKU・保管量・作業内容)の明示
(記載なし)連携方式(API/CSV)、渡すデータと戻るデータ、在庫確認の方法
(記載なし)当日出荷の締め時間と、変動する条件
豊富な実績とノウハウ対応できる流通加工の具体名と、資材の扱い
(記載なし)返品の受託範囲と、再販可否の判断の進め方
(記載なし)対応拠点

この情報の多くは、新しく作る必要のないものです。営業資料、見積時のヒアリングシート、既存荷主との運用ルール、現場の作業手順書のなかに、すでに書かれていることがあります。まず社内資料を確認し、不足分を営業・現場へ確認する順序で進めると、負担が小さくなります。

なお、改善後の文章に書く内容は、実際に対応している範囲に限ります。サイトの記載と商談での説明が食い違うと、その後の信頼に影響します。書ける範囲が狭いのであれば、狭いまま正確に書くほうが、事業者にとっても自社にとっても扱いやすくなります。

自社で確認すること:自社のEC物流ページの冒頭200字程度を読み、「物量の考え方」「システム連携」「締め時間」「返品」「加工」「拠点」のうちいくつが書かれているかを数えてください。ゼロであれば、書き換えの優先度は高くなります。

顕在的な検索では、広告も受け皿の候補になる

「発送代行 小ロット」「EC物流 委託」のように、委託先を探している段階の検索が含まれる語では、検索広告も候補になります。

このとき、広告用のLPを必ず新しく作る必要はありません。すでにEC物流サービスページに、物量の考え方、システム連携、締め時間、返品、加工、拠点、問い合わせ導線が書かれているのであれば、同じページを広告の遷移先として使える場合があります。

検索広告は、SEOで自然検索からの流入が増えるのを待たずに、特定の検索テーマから受け皿ページへ流入を作り、検索語・広告文・着地ページ・問い合わせ内容の組み合わせを比較的早く検証する手段にもなります。

想定した事業者からの問い合わせが来ない場合は、ページだけを原因と決めず、検索語、広告文、受託条件、着地ページの内容を切り分けて確認します。

ただし、広告の運用設計(予算配分、入札、キーワードのマッチタイプ、除外設定など)はこの記事の範囲を超えます。SEO以外のチャネルも含めた集客全体の設計は「物流会社のWeb集客」で扱っています。

自社で確認すること:現在広告を運用している場合、広告の遷移先ページとSEOで主担当にしているページの役割を確認してください。別ページでも問題ありません。広告専用LPとして分ける理由があるか、受託条件やサービス内容の説明が互いに矛盾していないかを確認します。

導入事例は、条件が分かる形にする

EC物流の事例は、社名や成果の数値を出せなくても掲載できます。事業者にとっては、企業名や成果数値だけでなく、自社と条件が近い案件を扱った経験があるかどうかも重要な判断材料になるためです。

事例に含めたい要素です。

  • 事業者の形態(自社EC中心、モール中心、両方、定期通販、D2Cなど)
  • 商材カテゴリ
  • SKUの規模感
  • 出荷形態(BtoCの個口出荷のみか、BtoB出荷を含むか)
  • 委託前の状況(自社出荷、他社委託、繁忙期だけ外注、など)
  • 実際の受託範囲(どの工程から、どの工程まで)
  • 使用しているカート・モール・OMSと、連携方式
  • 実施している流通加工
  • 返品の受託範囲
  • 繁忙期・セール時の運用
  • 移管の進め方と、そのときに時間がかかった作業

なぜこの構成にするか。成果だけを並べた事例では、前提条件や実際の運用が分からず、自社との違いを判断しにくい場合があります。一方、商材・物量・システム・受託範囲・移管時の経緯まで分かる事例であれば、自社の状況と照らし合わせる材料になります。

成功した部分だけを並べる必要はありません。移管に想定より時間がかかった、商品マスタの整備を事業者側で行う必要があった、といった実務上の経緯も、読み手にとっては準備の目安になります。ツリーズコンサルティングのSEO支援事例でも、改善したもの、改善しなかったもの、未実装のものを分けて扱っています(「物流会社のSEO支援事例」)。事例は、施策の万能性を示すためではなく、判断の例として使うものです。

数値を載せる場合は、事実として確認できるものだけにしてください。効果を強調するために概算値を載せると、商談時に説明できなくなります。

事例ページは、商材別ページや条件別ページからの内部リンク先としても機能します。化粧品EC向けのページから化粧品の事例へ、という導線があると、検討中の事業者が判断しやすくなります。

自社で確認すること:既存の事例ページを読み、社名を伏せた状態でも「どういう条件の案件だったか」が分かるかを確認してください。分からない場合、営業か現場に当時の受託条件を確認すると、追記できる項目が見つかることがあります。

問い合わせフォームで何を聞くか

EC物流の問い合わせフォームは、営業が初回返信で判断するために必要な情報と、入力負担のバランスで設計します。

聞く項目の候補です。

  • 取り扱い商材
  • SKU数の目安
  • 月間出荷件数(平常時/繁忙時)
  • 保管量の目安
  • 1件あたりの平均点数
  • 販売チャネル(自社EC、モール、実店舗併用)
  • 使用しているカート・モール
  • OMS・基幹システムの利用状況
  • BtoC出荷のみか、BtoB出荷を含むか
  • 必要な流通加工(ギフト、同梱、セット組など)
  • 返品対応の希望
  • 現在の物流体制(自社出荷、他社委託、未定)
  • 希望する開始時期

すべてを必須にする必要はありません。項目が増えるほど入力負荷は高くなり、離脱要因になる可能性があります。必須にするかどうかは、「初回返信の前に本当に必要か」「問い合わせ後のヒアリングで確認できるか」で分けます。たとえば、受託可否の一次判断に直結する項目を必須候補とし、商談時でも確認できる細かな作業条件は任意にする、といった分け方があります。

また、フォームの手前に受託条件の目安を書いておくと、条件の合わない問い合わせが減ることがあります。フォームだけで振り分けようとせず、ページの記載と組み合わせて設計してください。

問い合わせ後の商談・提案の進め方を含む新規荷主獲得全体は「物流会社の新規荷主獲得・新規開拓」で扱っています。

自社で確認すること:現在のフォーム項目を、「初回返信に必要」「商談時に確認できる」の2つに分類してください。後者に分類された必須項目は、任意に変える候補です。

問い合わせの「質」を見る

EC物流会社のSEOでは、順位・流入・問い合わせ件数だけを成果指標にすると、判断を誤ることがあります。

見る流れは次のとおりです。

検索 → サービスページ流入 → 問い合わせ → 自社の受託条件に合う案件 → 商談 → 見積 → 受注

問い合わせ件数が増えていても、その中身が「対応していないカートを使っている」「必要な温度帯がない」「希望する締め時間に対応できない」という内容ばかりであれば、営業と現場の工数が増えるだけです。逆に、件数が横ばいでも、条件の合う問い合わせの割合が上がっていれば、サイトは機能している可能性があります。

そのため、問い合わせを次の観点で分類しておくことをおすすめします。

  • どのページ経由か
  • どの検索語で流入したか(分かる範囲で)
  • 商材、SKU、出荷件数、使用カート
  • 自社の受託条件に合っていたか
  • 合わなかった場合、何が理由だったか

対応外だった理由は、改善材料になります。たとえば「使用カートが未対応だった」という理由が続くなら、対応済みカートの記載が見つけにくい可能性があります。「出荷件数が想定より少なかった」が続くなら、物量の考え方の記載が不足している可能性があります。「締め時間が合わなかった」が続くなら、締め時間をページ上部に出す判断があります。

なお、順位や流入が増えたからといって、問い合わせが増えるとは限りません。逆に、順位が変わらなくても、ページの記載を増やしたことで問い合わせの中身が変わることがあります。指標は分けて見てください。

自社で確認すること:直近の問い合わせを、「受けたい案件だったか」で分類してください。分類できない場合は、フォームの項目か、営業側の記録項目が足りていない可能性があります。

既存ページをどう改善するか

既存サイトがある場合、「順位が低いからリライトする」という判断は取りません。ページの状態によって、やるべきことが変わります。

状態見立て先に確認すること取りうる対応
A:流入があり、問い合わせも自社の受託条件に合っている現状が機能しているどの検索テーマから流入しているか、どの記述が判断材料になっているか不用意な全面改稿は避け、情報の追加・更新にとどめる
B:流入はあるが、自社の想定より小さすぎる案件の問い合わせばかり受けている検索テーマと、書いてある受託条件がずれている可能性流入している検索語、ページ上の物量・SKU・料金構成の記載受託条件の記載を追加・修正し、受ける検索テーマを見直す
C:サービスページは見られているが問い合わせがない判断材料か導線の不足締め時間・システム連携・返品・加工・拠点の記載、CTAの位置と文言、フォーム項目判断材料の追加と、導線の見直し
D:EC物流/発送代行/フルフィルメントの類似ページが重複している役割の重複どのページが検索結果に出ているか、内容の差はどこか主担当URLを決め、統合するか役割を分ける
E:受けたい案件のページがない受け皿の不在検索需要があるか、実際の検索結果はどうか、書ける一次情報があるか新規作成の候補。書ける中身がなければ既存ページ内で扱う

なぜ状態で分けるか。Aのページを全面的に書き直すと、機能していた記述まで変わってしまうことがあります。Bのページに情報を足しても、条件のずれが解消されなければ、想定外の問い合わせは減りません。Dの状態で新規ページを追加すると、役割の重複がさらに増えます。順位という1つの指標だけでは、この違いを見分けられません。

サイト全体の改善判断と優先順位は「物流会社のホームページ改善」で扱っています。

自社で確認すること:EC物流関連の主要ページをA〜Eに分類してください。分類できないページがある場合、検索流入のデータと問い合わせ内容のデータのどちらが足りていないかを確認します。

EC物流会社のSEOでよくある失敗

「小ロット対応」とだけ書かれ、条件が分からない

なぜ問題か:読み手は自社が対象かどうかを判断できず、確認のためだけの問い合わせか、離脱のどちらかになります。想定より小さい案件の問い合わせが集まる原因にもなります。

確認すること:「小ロット」という語の周辺に、判断が変わる条件(SKU、保管量、作業内容、最低料金の有無)が書かれているか。

WMS名やシステム名だけが書かれ、連携方式がない

なぜ問題か:事業者が知りたいのは、自社の環境とつながるかどうかです。システム名だけでは、API連携なのか、CSVの手動アップロードなのか、個別開発が必要なのかが分かりません。

確認すること:「何と」「どの方式で」「どのデータを渡し」「どのデータが戻るか」が書かれているか。

カート名だけを差し替えたページが並んでいる

なぜ問題か:内容が同じページが増えると、どれが主担当ページか決まらず、内部リンクの設計も曖昧になります。読み手にとっても新しい情報がありません。

確認すること:そのページに、サービスページには書けない固有の連携・運用情報があるか。

EC物流・発送代行・フルフィルメントのページの役割が重なっている

なぜ問題か:名称ごとにページを分けても、受託範囲の説明が同じであれば、事業者は違いを理解できません。サイト内で説明が分散し、どのページも情報が薄くなることがあります。

確認すること:それぞれのページで説明している受託範囲が実際に違うのか、名称だけが違うのか。

「当日出荷対応」と書いてあるが、締め時間がない

なぜ問題か:事業者は自社の商品ページに出す案内を決めたいので、締め時間が分からないと判断できません。確認の問い合わせが増えます。

確認すること:締め時間、対象外になる条件、土日祝の扱いが書かれているか。

返品対応の範囲が書かれていない

なぜ問題か:返品は会社によって受託範囲が分かれる領域です。「対応可」だけでは、受入だけなのか、検品・再入庫・交換品出荷まで含むのかが分かりません。

確認すること:返品の工程を分解し、どこまでを自社が行うかが書かれているか。

ギフト・同梱などの作業範囲が不明

なぜ問題か:作業が購入体験に直結する商材では、加工の可否が委託先選定の条件になります。「流通加工対応」の一言では、何ができるかが伝わりません。

確認すること:作業の具体名、資材の支給方法、仕様変更の進め方、準備期間が書かれているか。

繁忙期対応が「柔軟に対応」で終わっている

なぜ問題か:セールやキャンペーン時にどう連携すればよいかが分かりません。一方で、能力値を数値で書くと、裏付けのない記載になります。

確認すること:事前連絡のリードタイム、連絡フロー、資材手配の準備期間など、運用として書ける内容があるか。

商材別ページが、商材名だけ違う

なぜ問題か:温度帯、期限管理、検品、ラベル、ギフト、返品といった商材固有の情報がなければ、独立ページである理由がありません。

確認すること:その商材でしか書けない作業・管理を具体的に挙げられるか。

問い合わせ件数だけを見ている

なぜ問題か:件数が増えても、受託条件に合わない問い合わせであれば、営業と現場の工数が増えるだけです。ページのどこを直すべきかも分かりません。

確認すること:問い合わせを「受けたい案件だったか」で分類できているか。分類できない場合、フォーム項目か記録項目が不足していないか。

サービスページより、用語記事ばかりが増えている

なぜ問題か:「フルフィルメントとは」のような記事は、検討の早い段階の読者に届く可能性がありますが、その読者が「この会社に何を委託できるのか」を確認する場所がなければ、相談には進みにくくなります。

確認すること:記事を増やす前に、中心となるサービスページに判断材料が揃っているか。記事の企画と制作は「物流会社のコンテンツSEO」で扱っています。

着手の順序

一度にすべてを進める必要はありません。順序としては、次の流れが扱いやすくなります。

  1. 増やしたいEC案件を決める:商材、物量、SKU、システム環境、必要な作業を言語化する
  2. 自社の受託条件を整理する:現場と営業で認識を合わせ、書ける条件と書けない条件を切り分ける
  3. 検索語を集め、代表的な検索結果を確認する:並ぶページの種類から、受け皿の型を決める
  4. 中心となるEC物流サービスページを直す:新規ページより先に、判断材料を揃える
  5. 既存ページをA〜Eで分類する:重複しているページの主担当URLを決める
  6. 書ける情報がある商材・条件・システムのページを作る:書けない領域は作らない
  7. 事例とフォーム、内部リンクを整える:サービスページから問い合わせまでの導線を作る
  8. 問い合わせの中身を見て、次に直すページを決める:対応外だった理由を記載の候補として扱う

4を飛ばして6から始めると、ページ数は増えても、それぞれの判断材料が薄いままになることがあります。

まとめ

EC物流・フルフィルメント・発送代行のSEOは、「EC物流」「発送代行」というキーワードで順位を取る作業ではありません。

EC物流の委託先を探す際には、

商材 × 物量・SKU × システム × 運用条件

が検索や比較時の重要な判断軸になります。ただし、その組み合わせをすべてページ化するという意味ではありません。検索意図と実際の検索結果、既存ページ、そして自社が実際に受託できる範囲を確認して、担当するURLを決めます。

そのうえで、それぞれのページで説明するのは、抽象的な強みではなく、何を、どの物量帯で、どのシステムとつないで、何時までに、どこまでの作業と返品まで受託できるかです。事業者はその情報を自社の状況に当てはめて、相談してよいかを判断します。

そして、成果は順位や問い合わせ件数だけで判断しません。

検索 → 流入 → 問い合わせ → 適合案件 → 商談 → 見積 → 受注

この流れで確認し、適合しなかった問い合わせの理由を、次にサイトへ書き足す内容の候補として扱います。

この記事を読み終えた時点で、次の8つを自社で確認できる状態を目指してください。

  1. 自社が増やしたいEC案件はどんな条件の案件か
  2. その事業者は何と検索している可能性があるか
  3. どの検索をどのページで受けるか
  4. サービスページに、物量・SKU・システム連携・締め時間・返品・加工のうち何が書かれていないか
  5. カート別・商材別ページを作るべきか、サービスページ内で扱うか
  6. 事例に何を書くか
  7. フォームで何を必須にするか
  8. 届いている問い合わせは、本当に受けたい案件か

FAQ

Q. EC物流会社のSEOでは、どんなキーワードを狙えばよいですか?

A. サービス(EC物流、発送代行、フルフィルメント、通販物流など)、商材(化粧品、食品、アパレルなど)、運用条件(小ロット、当日出荷、返品、ギフトなど)、システム(カート名、WMS、OMSなど)、地域の軸で候補を集めるところから始めます。ただし、集めた語をすべてページにするのではなく、代表的な語で実際に検索し、上位に並ぶページの種類を確認したうえで、自社の受託条件に合うものを選びます。狙うべき語は、増やしたい案件像によって変わります。

Q. 「EC物流」と「発送代行」は同じページで狙えますか?

A. 一律には判断できません。両者を近い意味で使う事業者もいれば、業務範囲が違うものとして使い分ける事業者もいます。まず両方の語で検索し、上位に並ぶページの種類と内容が近いかどうかを確認してください。傾向が近く、自社の説明内容も同じで足りるなら1ページで扱う判断があります。書き分けるべき内容が明確に異なる場合は、分けたうえで内部リンクでつなぎます。

Q. 「小ロット対応」は、どこまで具体的に書くべきですか?

A. 「小ロット対応可」の一文だけでは、読み手は自社が対象か判断できません。ただし、根拠のない件数基準を作る必要もありません。書けるのは、受託可否がどの条件で変わるのか(SKU数、保管量、1件あたりの点数、作業内容)、最低利用料金や初期費用の有無、そして問い合わせ時にどの情報を伝えれば回答できるか、という内容です。実態と合わない数値を目安として書くことは避けてください。

Q. Shopifyや楽天市場ごとに、発送代行のページを作るべきですか?

A. 作るべきだという前提では考えません。実際に対応していること、その語で検索需要が確認できること、実際の検索結果が他の語と分かれていること、そのシステム固有の連携・運用情報を書けること。これらが揃っているかで判断します。書ける固有情報がない場合は、EC物流サービスページ内の「対応カート・モール」と連携方式の説明として扱う候補になります。

Q. WMSやカート連携について、どこまで書けばよいですか?

A. 「対応可」で止めず、何と連携できるか、どの方式か(API/CSV/個別開発)、どのデータを渡してどのデータが戻るか、在庫をどこまで確認できるか、までを書くと判断材料になります。ただし、特定のカートやシステムの一般的な仕様を自社サイトで断定して説明することは避け、自社での連携実績と対応方式に限って書くほうが、記載が古くなったときの影響も小さくなります。

Q. 繁忙期対応は、どう書けばよいですか?

A. 「◯倍まで対応」といった能力値は書かないでください。実際の吸収余力は、その時期の他案件の状況や人員確保によって変わります。代わりに、繁忙期の物量見込みをいつまでに共有してほしいか、事前連絡があった場合の体制の組み方、急な増加時の連絡フロー、資材手配に必要な準備期間など、運用として説明できる内容を書きます。

Q. EC物流のサービスページには、結局何を書けばよいですか?

A. 受託範囲(どの工程からどの工程まで)、物量とSKUの考え方、WMS・OMSとカート連携の方式、出荷締め時間と稼働日、対応拠点、流通加工の内容、返品の受託範囲、見積に必要な情報、導入・移管の流れ、問い合わせ導線が基本です。ただし、全項目を網羅することが目的ではありません。獲得したい事業者が問い合わせの前に確認する項目から書きます。項目ごとの書き方は「物流会社のサービスページSEO」で扱っています。

Q. 問い合わせは増えましたが、対応できない案件ばかりです。

A. 受けている検索テーマと、ページに書かれている受託条件がずれている可能性があります。まず、対応できなかった理由を分類してください。使用カートが未対応、物量が想定と合わない、締め時間が合わない、必要な加工に対応できない、といった理由の傾向が見えると、ページに書き足す内容が決まります。件数を減らすことが目的ではなく、判断材料を先に出して、条件の合う事業者からの相談を増やすという考え方です。

Q. どのくらいの期間で成果が出ますか?

A. 一律には申し上げられません。既存サイトの状態、公開できる情報の量、競合の状況、社内での実装体制によって変わります。着手の順序としては、中心となるEC物流サービスページの判断材料を整えることから始めると、検索順位の変化を待たずに、既存の流入や営業経由の閲覧に対しても変化を確認しやすくなります。

EC物流・フルフィルメント会社のSEOはツリーズコンサルティングにご相談ください

ツリーズコンサルティングでは、EC物流・フルフィルメント・発送代行事業者のWebサイトについて、増やしたい案件からの検索需要の整理、検索テーマと主担当URLの設計、EC物流サービスページ・商材別ページ・事例ページの役割分担、営業・現場からの一次情報の引き出し、内部リンクと問い合わせ導線の設計を支援しています。

次のような段階からご相談いただけます。

  • 「EC物流」「発送代行」中心のキーワード設計から見直したい
  • サービスページはあるが、物量・システム連携・締め時間・返品をどう書けばよいか分からない
  • カート別・商材別ページを作るべきか判断したい
  • 導入事例を、EC事業者が判断できる形にしたい
  • 検索流入はあるが、問い合わせに進まない
  • 想定より小さい案件や、対応できない案件の問い合わせが多い
  • EC物流・発送代行・フルフィルメントの似たページが増えており、役割を整理したい

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