人材会社のSEOで難しいのは、キーワードを見つけることより、見つけたキーワードをどのページに担当させるかです。
求人・転職の検索語は、職種、地域、雇用形態、経験、資格、給与、勤務時間、働き方など複数の軸で増えていきます。
たとえば「事務」を扱うだけでも、
- 事務 派遣
- 事務 派遣 東京
- 事務 未経験 求人
- 一般事務 高時給 派遣
- 事務 在宅 求人
- 経理 派遣 東京
のように検索意図が枝分かれします。
ここで「候補キーワードが100個あるから100記事作る」と考えると、同じ内容のページが増え、求人0件ページやカニバリが発生します。
逆に、大きな「求人」「転職」だけを狙っても、中小の人材紹介会社・人材派遣会社が自社の得意領域を検索流入に変える設計にはなりません。
必要なのは、キーワードを集めた後に、
検索意図 → ページタイプ → URL → 求人・サービス → CV
まで落とし込むことです。
ツリーズコンサルティングでは、専門職の人材派遣会社で、狙うキーワードと必要ページを見直し、新規ページを上位30位圏外から3位まで引き上げ、検索経由の求人応募を前年同期比1.7倍に改善した経験があります。
この記事では、その考え方を人材会社向けに整理します。
人材会社のSEOキーワードは「誰が検索しているか」から分ける
最初に、検索者を少なくとも2種類に分けます。
求職者・登録スタッフ
仕事を探している人です。
代表的な検索軸は、
- 職種
- 地域
- 雇用形態
- 経験
- 資格
- 給与
- 勤務時間
- 働き方
- 業界
- 転職・就業の悩み
です。
CVは応募、登録、面談予約などになります。
求人企業・派遣先企業
採用や人員確保に課題を持つ企業です。
検索例は、
- IT 人材紹介
- 施工管理 人材紹介
- 事務 人材派遣
- 人材派遣 依頼
- 人材紹介 料金
- 採用支援 会社
などです。
こちらのCVは問い合わせ、商談、求人獲得です。
同じ「人材会社のSEO」でも、求職者用と法人用ではページ内容もCTAも異なります。
キーワード一覧を作る前に、その検索がどちら側の市場なのかを付与しておくと、後のサイト設計が崩れにくくなります。
求職者向けキーワードは6〜8軸へ分解する
人材会社が扱う求人を、次のような軸で分解します。
| 軸 | 例 | 独立ページ候補 |
|---|---|---|
| 職種 | 事務、施工管理、看護師、ITエンジニア | 高い |
| 地域 | 東京、大阪、札幌、区市町村 | 求人数・需要次第 |
| 雇用形態 | 派遣、正社員、紹介予定派遣 | 高い場合がある |
| 経験 | 未経験、経験者、第二新卒 | 検索意図次第 |
| 資格・スキル | 簿記、施工管理技士、CAD | 専門職で有効 |
| 条件 | 高時給、土日休み、夜勤なし | 求人数と需要次第 |
| 働き方 | 在宅、時短、週3日 | 求人数と需要次第 |
| 業界 | 建設、医療、物流、IT | 専門特化会社で有効 |
この軸を掛け合わせれば候補は大量にできます。
しかし、掛け合わせられることと、URLを作るべきことは別です。
「職種×地域」を全部作らない
たとえば、10職種×47都道府県なら470ページ作れます。
さらに「未経験」「高時給」「土日休み」などを掛ければ、数千ページになります。
CMSで生成すること自体は難しくありません。
問題は、そのページに固有価値があるかです。
独立URLにする4条件
私は次の4条件を使います。
- 検索需要がある
- 実際に掲載・紹介できる求人が継続的にある
- 他の組み合わせと検索意図が違う
- 求人カード以外の固有情報を載せられる
たとえば「札幌 事務 派遣」に十分な求人があり、エリア特性、通勤、時給傾向、未経験可の求人、登録後の流れなどを説明できるなら、恒常ページとして育てる余地があります。
一方、「〇〇村 CADオペレーター 夜勤 高時給」のように求人がほとんどなく、検索需要も確認できないページを大量生成しても、入口ページとして機能しません。
キーワードを4種類のページへ割り当てる
人材サイトでは、キーワードをすべてブログへ割り当てないことが重要です。
1. 恒常的な職種・地域ページ
検索例:
- 事務 派遣 東京
- 施工管理 転職
- 看護師 人材紹介
求人が入れ替わっても検索意図が残るテーマです。
このページには、現在の求人だけでなく、職種説明、働き方、支援内容、関連地域・職種などを持たせます。
2. 求人詳細ページ
検索意図が特定の求人に近いものです。
求人固有の仕事内容、勤務地、給与、応募条件、勤務時間、雇用条件などを担当します。
求人詳細は募集終了するため、長期的な検索資産をすべて求人詳細へ依存させない方が安定します。
3. サービスページ
法人側の商業検索を担当します。
たとえば、
- IT 人材紹介
- 建設 人材派遣
- 事務 派遣 依頼
などです。
対応職種、紹介・派遣の流れ、契約、料金、実績、問い合わせ導線が必要です。
4. ノウハウ記事
検索例:
- 派遣 登録 流れ
- 施工管理 転職 未経験
- 転職 面談 服装
など、求人選択や登録前の疑問へ回答します。
記事だけで完結させず、関連する職種ページ、求人、登録・相談へ内部リンクします。
1キーワード1ページではなく「検索意図1つに主担当ページ1つ」
SEO設計でありがちな誤解が「1キーワードにつき1ページ」です。
実際には、表記が違っても同じ検索意図なら1ページで受けることがあります。
たとえば、
- 人材派遣 seo
- 派遣会社 seo
- 人材派遣会社 seo
が同じSERP・同じニーズなら、別々の3ページを作るより主担当ページを1つ決めます。
反対に、同じ単語を含んでいても、
- 事務 派遣 東京
- 事務 転職 東京
では、派遣求人を探す人と正社員転職を探す人で検索意図が違う可能性があります。
判断するときは、KWPだけでなくGoogle検索結果を見ます。
SERPで見るポイント
- 同じドメイン・同じ種類のページが並ぶか
- 求人一覧が多いか、記事が多いか
- 人材会社のサービスページが出るか
- Indeed等の求人検索サービスが強いか
- 検索結果タイトルに「地域」「職種」「転職」「派遣」のどこまで含まれるか
検索結果が似ているKWはまとめ、違う結果が出るKWは分ける判断材料になります。
KWPのVolumeだけで優先順位を決めない
人材SEOでは、検索ボリュームが大きいキーワードほど良いとは限りません。
たとえば「求人」のような巨大KWは検索者の幅が広く、中小人材会社の得意領域との距離も遠くなります。
一方、月間検索数が小さくても、
- 専門職
- 主要地域
- 特定資格
- 特定雇用形態
が組み合わさった検索は、実際の求人と合えば応募への距離が近いことがあります。
優先順位は、少なくとも次の要素で付けます。
検索需要 × 求人数 × 自社の強み × CV距離 × SERP勝率 × ページ固有性
検索Volumeは重要な一要素ですが、それだけではありません。
求人0件になったときに崩れないページ設計をする
「職種×地域」ページを作るときは、求人がゼロになる可能性を考えます。
求人カードしかないページでは、0件になった瞬間に内容がなくなります。
主要な恒常ページには、
- その職種の仕事内容
- 地域での働き方
- 必要スキル・資格
- その会社が扱う求人の特徴
- 登録・相談の案内
- 近接職種や近接地域へのリンク
など、求人の在庫とは別の情報を持たせます。
ただし「求人がゼロでもSEOページを残すため」にテンプレ文章を水増しするのは逆効果です。
継続して扱う領域だけを恒常ページ化するのが前提です。
似た一覧ページのカニバリを防ぐ
人材サイトでは、以下が競合しやすくなります。
- 職種トップ
- 職種×地域
- 条件別一覧
- 検索結果URL
- 求人特集
- ノウハウ記事
たとえば「東京 事務 派遣」を、
/jobs/tokyo/office//search/?area=tokyo&job=office/feature/tokyo-office/
の3URLで狙うと、検索エンジンにもユーザーにも主担当が分かりにくくなります。
対策は、canonicalだけに頼るのではなく、
- SEO対象URLを決める
- 検索結果・絞り込みURLの扱いを決める
- サイトマップへ載せるURLを揃える
- 内部リンクを主担当ページへ集める
- 重複特集を増やさない
というサイト構造側の整理です。
実務ではキーワードマスターに「担当ページ」を持たせる
キーワード調査表には、Volumeだけではなく次の列を持たせると管理しやすくなります。
| 項目 | 例 |
|---|---|
| KW | 事務 派遣 東京 |
| Volume | KWP実測 |
| 検索者 | 求職者 |
| Funnel | 求人比較・応募直前 |
| 対象職種 | 事務 |
| 対象地域 | 東京 |
| ページタイプ | 職種×地域 |
| 担当ページ | 東京×事務の求人一覧ページ(例:/jobs/tokyo/office/) |
| 現在順位 | GSC |
| 求人数 | 自社DB |
| CV | 応募・登録 |
| 優先度 | A/B/C |
| カニバリ候補 | 既存URL |
この表があれば、記事担当者だけでなく、開発、制作、広告、営業とも共通認識を作れます。
小規模な人材会社なら、まず30〜50テーマを深く設計する
求人DBがあると、ページを大量に作れるため「何千ページに増やすか」が議論になりがちです。
しかし、小規模な人材会社なら最初から全国・全職種を取りにいく必要はありません。
まずは、
- 売上を作りたい職種
- 求人を継続保有している地域
- 自社が専門性を説明できるテーマ
- すでにSearch Consoleで表示が出ているテーマ
から30〜50程度の検索テーマを選び、担当ページ・内部リンク・求人導線まで設計します。
検索反応を見てから次のテーマへ広げる方が、薄いページを大量に作るより改善サイクルを回しやすくなります。
事例|キーワードからページの役割まで見直して応募1.7倍
専門職の人材派遣会社では、従来からSEO施策を行っていたものの、主要キーワードが上位30位圏外でした。
そこで、
- 事業の強みを整理
- 求職者が検索するキーワードを見直す
- 検索意図ごとに必要なページを決める
- ページごとの掲載情報を設計
- 制作会社へ実装指示
- 関連ページ・応募導線を調整
という順番で改善しました。
結果、新規ページは公開後1か月で8位、その後3位まで上昇し、検索経由求人応募は前年同期比1.7倍になりました。
成果の中心は「キーワードを見つけたこと」ではなく、そのキーワードをどのページで受け、応募までどうつなぐかを決めたことです。
まとめ|キーワード調査の完成形は一覧表ではなくサイト設計
人材会社のSEOキーワード設計では、
- 求職者と求人企業を分ける
- 職種・地域・条件などの軸を分解する
- 全掛け合わせを機械的に作らない
- 検索意図ごとにページタイプを決める
- 主担当ページを1つ決める
- 求人数・事業価値・SERPも含めて優先順位を付ける
- 求人終了後も残る恒常ページを設計する
- キーワードマスターに担当ページを持たせる
ことが重要です。
SEOキーワード調査の成果物は「キーワードが何個出たか」ではありません。
どの検索需要を、どのページで受け、どの求人・サービスへつなぐかを説明できる状態が完成形です。
人材紹介会社・人材派遣会社で、キーワードは調べたものの「どのページを作るべきか」「求人一覧と記事をどう分けるか」が整理できていない場合は、既存サイトとSearch Consoleを見ながら、優先キーワード・担当ページ・内部リンク・応募導線まで整理できます。