人材会社のSEOキーワード設計|職種×地域×条件をページへ落とす方法

人材会社のSEOで難しいのは、キーワードを見つけることそのものではありません。見つけたキーワードを、自社サイトのどのページに担当させるかです。

求人・転職の検索語は、職種、地域、雇用形態、経験、資格、給与、勤務時間、働き方など、複数の軸で増えていきます。たとえば「事務」を扱うだけでも、「事務 派遣」「事務 派遣 東京」「事務 未経験 求人」「一般事務 高時給 派遣」「事務 在宅 求人」「経理 派遣 東京」のように検索する目的が枝分かれします。

ここで「候補が100個あるから100記事作る」と考えると、同じ内容のページが増えます。求人が0件のまま放置されるページや、似た自社ページ同士がGoogle検索で競合する状態も起きやすくなります。逆に、大きな「求人」「転職」だけを狙っても、中小の人材紹介会社・人材派遣会社が得意領域を検索流入に変える設計にはなりません。

必要なのは、キーワードを集めた後に、検索する人の目的から、見せるページ、求人・サービス、応募や登録などの成果までを一続きで設計することです。下の表は、その考え方を先に示したものです。

検索例検索している人目的見せたいページ
事務 派遣 東京求職者東京で事務求人を探したい東京×事務の求人一覧
施工管理 転職求職者求人や転職情報を知りたい職種ページ
派遣 登録 流れ求職者登録方法を知りたい解説記事・ガイド
IT 人材紹介求人企業IT人材を紹介してほしい法人向けサービス
誰が検索しているか → 何を知りたいか → どのページを見せるか → どの求人・サービスへつなぐか

この記事で伝えたいのは、キーワードをたくさん集めることではなく、検索する人の目的を判断し、見せるページまで決めることです。なお、人材業界SEOの全体設計は人材業界SEOの全体設計でまとめています。

筆者が担当した専門職の人材派遣会社の事例では、狙うキーワードと必要なページを見直し、対象キーワードは数週間で1ページ目、数か月で1位まで改善しました。サイト全体の応募数も前年同期比約1.7倍となっています。

この記事では、人材業界SEO全体ではなく、キーワードを「どのページで受けるか」まで設計する実務に絞って解説します。

人材会社のSEOキーワード設計は「誰が検索しているか」から始める

最初に、検索している人を大きく2種類に分けます。

求職者・登録スタッフ

仕事を探している人です。代表的な検索軸は、職種、地域、雇用形態、経験、資格、給与、勤務時間、働き方、業界、転職・就業の悩みなどです。応募、登録、面談予約などがゴールになります。

求人企業・派遣先企業

採用や人員確保に課題を持つ企業です。「IT 人材紹介」「施工管理 人材紹介」「事務 人材派遣」「人材派遣 依頼」「人材紹介 料金」「採用支援 会社」といった検索が代表例です。こちらは問い合わせ、商談、求人獲得がゴールになります。

同じ「人材会社のSEO」というテーマでも、求職者向けと法人向けではページの中身も、応募・問い合わせへの導線も変わってきます。キーワード一覧を作る段階で、その検索がどちら側の市場に属するかを付けておくと、あとのサイト設計がぶれにくくなります。

職種・地域・条件に分解して検索需要を洗い出す

人材会社が扱う求人は、いくつかの軸で分解できます。

軸例独立ページ候補
職種事務、施工管理、看護師、ITエンジニア高い
地域東京、大阪、札幌、区市町村求人数・需要次第
雇用形態派遣、正社員、紹介予定派遣高い場合がある
経験未経験、経験者、第二新卒検索する目的次第
資格・スキル簿記、施工管理技士、CAD専門職で有効
条件高時給、土日休み、夜勤なし求人数と需要次第
働き方在宅、時短、週3日求人数と需要次第
業界建設、医療、物流、IT専門特化会社で有効

この軸を掛け合わせれば、候補は簡単に大量へ膨らみます。ただし、掛け合わせられることと、そこにページを作るべきことは別の話です。この先を決める判断基準は、後ほど「『職種×地域』を全部ページにする必要はない」で扱います。

集めたキーワードを、検索する目的ごとにまとめる

SEO設計でありがちな誤解が、「1キーワードにつき1ページ」という考え方です。実際には、表記が違っても検索する目的が同じなら、1ページでまとめて受けられることがあります。

たとえば「人材派遣 seo」「派遣会社 seo」「人材派遣会社 seo」が、Googleの検索結果に並ぶページの顔ぶれもほぼ同じで、検索している人のニーズも同じなら、別々に3ページ作るより、見せるページを1つ決める方が自然です。反対に、同じ単語を含んでいても、「事務 派遣 東京」と「事務 転職 東京」では、派遣求人を探している人と正社員への転職を探している人とで、目的が違う可能性があります。

これを判断するときは、キーワードプランナーの検索数だけでなく、実際のGoogle検索結果を確認します。筆者が担当した専門職の人材派遣会社の案件でも、候補キーワードの文言が似ているという理由だけでページを分けることはしませんでした。似た表現でも検索結果に並ぶページの種類がほぼ同じなら一つのページでまとめ、検索結果のページタイプが明確に変わる場合だけ、別の受け皿を検討しています。

Google検索結果を見るときは、次のような点を確認します。

  • 同じドメイン・同じ種類のページが並んでいるか
  • 求人一覧が多いか、記事が多いか
  • 人材会社のサービスページが出ているか
  • 求人検索サービス(Indeedなど)が強く出ているか
  • 検索結果のタイトルに「地域」「職種」「転職」「派遣」のどこまで含まれているか

検索結果の顔ぶれが似ているキーワードはまとめ、明らかに違う結果が出るキーワードは分けます。この確認が、次の「見せるページを決める」作業の土台になります。なお、この案件の詳細な支援内容は求人KW設計を行ったSEO支援事例ページで紹介しています。

検索する目的に合わせて、見せるページを決める

人材サイトでは、集めたキーワードをすべて記事へ割り当てるわけではありません。目的ごとに、次の4種類のページへ振り分けます。

恒常的な職種・地域ページ

「事務 派遣 東京」「施工管理 転職」「看護師 人材紹介」のように、求人が入れ替わっても検索する目的が残り続けるテーマです。このページには、現在の求人だけでなく、職種の説明、働き方、支援内容、関連する地域・職種へのリンクなどを持たせます。

求人詳細

検索する目的が特定の求人に近いケースです。求人固有の仕事内容、勤務地、給与、応募条件、勤務時間、雇用条件などを担当します。求人詳細は募集終了とともに消えていくページなので、長期的な検索からの流入をすべて求人詳細だけに頼らない方が安定します。

法人向けサービスページ

「IT 人材紹介」「建設 人材派遣」「事務 派遣 依頼」など、法人側の検索を担当します。対応職種、紹介・派遣の流れ、契約、料金、実績、問い合わせへの導線が必要です。

ノウハウ記事

「派遣 登録 流れ」「施工管理 転職 未経験」「転職 面談 服装」など、求人を選ぶ前や登録する前の疑問に答えるページです。記事だけで完結させず、関連する職種ページ、求人、登録・相談への内部リンクを添えます。

人材紹介会社の場合、同じ職種でも「求人一覧」「職種ページ」「転職支援ページ」「キャリア記事」など、検索する目的によって見せるページが変わります。人材紹介サイトへの具体的な落とし込みは人材紹介会社のSEO対策で整理しています。

「職種×地域」を全部ページにする必要はない

たとえば10職種×47都道府県なら470ページ作れます。さらに「未経験」「高時給」「土日休み」などを掛け合わせれば、数千ページにまで膨らみます。CMS(サイト管理システム)でページを生成すること自体は難しくありません。問題は、そのページに固有の価値があるかどうかです。

独立ページにする判断基準

私は次の4条件で判断しています。

  1. 検索需要がある
  2. 実際に掲載・紹介できる求人が継続的にある
  3. 他の組み合わせと検索する目的が違う
  4. 求人カード以外の固有情報を載せられる

「札幌 事務 派遣」に十分な求人があり、エリア特性、通勤、時給の傾向、未経験可の求人、登録後の流れなどを説明できるなら、恒常ページとして育てる余地があります。一方、「〇〇村 CADオペレーター 夜勤 高時給」のように求人がほとんどなく検索需要も確認できないページを大量生成しても、入口としては機能しません。

求人が0件になっても成立するか確認する

「職種×地域」ページを作るときは、求人がゼロになる可能性も織り込みます。求人カードしかないページは、0件になった瞬間に中身がなくなってしまいます。

主要な恒常ページには、その職種の仕事内容、地域での働き方、必要なスキル・資格、その会社が扱う求人の特徴、登録・相談の案内、近い職種や近い地域へのリンクなど、求人の在庫とは別の情報を持たせます。ただし、「求人が0件でもページを残すため」にテンプレートの文章を水増しするのは逆効果です。継続して扱っていく領域だけを恒常ページ化するのが前提になります。

同じ検索で似たページを競わせない

人材サイトでは、職種トップ、職種×地域ページ、条件別一覧、検索結果URL、求人特集、ノウハウ記事が競合しやすくなります。

たとえば「東京 事務 派遣」を /jobs/tokyo/office/ と /search/?area=tokyo&job=office と /feature/tokyo-office/ の3つのURLで狙うと、本来見せたいページとは別のページがGoogle検索に出てしまい、検索エンジンにもユーザーにも、どこが主担当のページなのか伝わりにくくなります。

canonical(似たURLが複数あるときに、代表として扱ってほしいURLをGoogleに伝える設定)だけに頼るのではなく、サイト構造側でも整理します。

  1. この検索で見せたいページを決める
  2. 検索結果ページや絞り込みURLの扱いを決める
  3. サイトマップに載せるURLを揃える
  4. 内部リンクを、見せたいページへ集める
  5. 重複する特集ページを増やさない

検索ボリュームだけで優先順位を決めない

人材SEOでは、検索ボリュームが大きいキーワードほど良いとは限りません。「求人」のような巨大キーワードは検索者の幅が広く、中小人材会社の得意領域との距離も遠くなりがちです。

一方で、月間検索数が小さくても、専門職、主要地域、特定資格、特定雇用形態が組み合わさった検索は、実際の求人と合えば応募までの距離が近いことがあります。

優先順位は、少なくとも検索需要、求人数、自社の強み、応募への近さ、上位表示を狙える可能性、そのページだけの情報を作れるかどうか、といった要素を掛け合わせて決めます。

筆者が担当した専門職の人材派遣会社の案件でも、検索需要はあっても当時の求人や事業内容と目的が合わない候補は優先しませんでした。一方で、「職種×求人×地域」のように検索ボリュームが大きくなくても、実際に求人があり応募への距離が近く、検索結果も地域別の求人ページを求めているキーワードは優先しています。ボリュームの大小より、「この検索者に本当に紹介できる求人があるか」を重く見た形です。

キーワード調査表には「どのページで受けるか」まで入れる

キーワード調査というと、検索数をExcelに並べる作業だと思われがちです。ですが、実務で機能する調査表には、検索数だけでなく「どのページで受けるか」まで書き込みます。

項目例
キーワード事務 派遣 東京
誰が検索するか求職者
何をしたいか東京で事務求人を探す
見せたいページ東京×事務の求人一覧
求人数自社DB
現在の表示状況Google Search Console
次の行動求人詳細 → 応募
優先度A / B / C
似た既存ページ既存URL

この表があれば、記事を書く担当者だけでなく、開発、制作、広告、営業とも共通の認識を持てます。キーワード調査のゴールは、検索数が何個出たかではなく、ページと事業成果まで設計することです。

キーワードは調べたが、どのページで受けるべきか整理できていない方へ

現在Google検索に表示されているページやサイト構造をもとに、優先する検索テーマ、見せるページ、内部リンク、応募・問い合わせまでの導線を確認できます。

小規模な人材会社は、重要なテーマから順に設計する

自社の求人データベースがあると、ページを大量に作れてしまうため、「何千ページまで増やすか」が議論になりがちです。

ですが、小規模な人材会社が最初から全国・全職種を狙う必要はありません。まずは、売上を作りたい職種、求人を継続して保有している地域、自社が専門性を説明できるテーマ、すでにGoogle Search Consoleで表示が出ているテーマから、たとえば30〜50程度の重要テーマを選び、見せるページ・内部リンク・求人への導線までを設計します。

検索への反応を見てから次のテーマへ広げる方が、薄いページを大量に作るより、改善のサイクルを回しやすくなります。

実例|キーワードではなく、見せるページを変えて順位が改善

専門職の人材派遣会社では、従来からSEO施策を行っていたものの、主要キーワードが検索上位に十分届いていませんでした。

そこで、キーワードを調べ、Googleの検索結果を確認し、検索している人の目的を判断しました。そのうえで、情報記事ではなく求人ページを見せると決め、ページ内容や内部リンクなどを改善しています。

キーワードではなく見せるページを変えたSEO改善例。主要キーワードについて検索結果を見直し、情報記事から地域別求人ページへ切り替え、数週間で1ページ目、数か月で1位になった実務事例

結果、対象キーワードは数週間で1ページ目、数か月で1位まで改善しました。サイト全体の応募数も前年同期比約1.7倍となっています。

この事例で伝えたいのは、成果の大きさそのものではありません。中心にあるのは、キーワードを見つけたことではなく、そのキーワードをどのページで受け、応募までどうつなぐかを判断したプロセスです。

人材会社のSEOキーワード設計チェックリスト

  • 検索している人を、求職者と求人企業のどちらかに分けたか
  • 職種・地域・雇用形態など、6〜8軸で検索需要を洗い出したか
  • 掛け合わせを機械的に全部ページ化していないか
  • 独立ページにするかどうかを、需要・求人数・検索する目的・固有情報の4条件で判断したか
  • 検索する目的ごとに、見せるページのタイプ(恒常ページ・求人詳細・サービスページ・記事)を決めたか
  • 同じ目的のキーワードに、見せるページを1つ決めたか
  • 検索ボリュームだけでなく、求人数や応募への近さも含めて優先順位を付けたか
  • 求人が0件になっても成立する恒常ページになっているか
  • 似たページ同士が同じ検索で競合していないか
  • キーワード調査表に「見せたいページ」の列があるか

まとめ|キーワード調査の完成形は「どのページで受けるか」が決まった状態

人材会社のSEOキーワード設計では、求職者と求人企業を分け、職種・地域・条件などの軸で分解し、すべての掛け合わせを機械的にページ化しないことが土台になります。そのうえで、検索する目的ごとにページのタイプを決め、見せるページを1つに絞り、求人数や事業への近さも含めて優先順位を付け、求人が終了しても残る恒常ページを設計します。そして、キーワード調査表に「どのページで受けるか」まで書き込んでおきます。

SEOキーワード調査の成果物は、キーワードが何個見つかったかではありません。どの検索需要を、どのページで受け、どの求人・サービスへつなぐかを説明できる状態が完成形です。

人材紹介会社・人材派遣会社で、キーワードは調べたものの「どのページを作るべきか」「求人一覧と記事をどう分けるか」が整理できていない場合は、既存サイトとGoogle Search Consoleを見ながら、優先キーワード・見せるページ・内部リンク・応募導線まで整理できます。