求人媒体やIndeedから応募が取れているなら、無理にやめる必要はありません。
問題は、そこからしか応募が来ない状態です。
媒体費を止めると応募も止まる。掲載ルールや料金体系が変わると集客構造そのものが変わる。競合が出稿を増やせば、自社の費用対効果も悪化する。
この状態では、外部プラットフォームの変化がそのまま経営リスクになります。
実際、Indeedは2026年3月18日以降、人材紹介会社・人材派遣会社による人材紹介求人・派遣求人について有料掲載を必須とする方針を案内しています。
これは「Indeedを使うな」という話ではありません。
媒体は媒体として使いながら、自社サイト・検索・候補者DBなど、自社側にも集客資産を持つことが重要だということです。
「媒体依存」とは、媒体費が大きいことではない
毎月多額の求人広告費を使っていても、利益が出ていて他のチャネルも機能しているなら、必ずしも問題ではありません。
依存度が高い状態とは、たとえば次のようなものです。
- 応募の大半が1媒体に集中している
- 出稿を止めると新規応募がほぼゼロになる
- 媒体の料金改定で採算が急変する
- 媒体内で会社の違いを伝えられない
- 過去応募者・登録者へ再接触できていない
- 自社サイトは会社案内だけで検索流入がない
- どの職種・地域が自社サイトで取れるか分からない
つまり、媒体の利用量ではなく代替可能性の低さが問題です。
求人媒体・Indeedが強い理由を理解してから役割を分ける
求人媒体や求人検索サービスには、自社サイトにはない強みがあります。
すでに求職者が集まっている
自社サイトへゼロから流入を作る必要がありません。
急募に強い
今日求人を出して短期間で反応を見る、といった運用がしやすいです。
新しい職種・地域を試せる
自社SEOページを作り込む前に、市場反応を確認できます。
求人比較の場として認知されている
求職者は複数求人をまとめて比較できます。
だからこそ、媒体を全面的に置き換えようとするのではなく、媒体が得意な仕事を残す方が合理的です。
自社集客で作りたい4つの資産
1. 検索されるページ
継続的に扱う職種・地域・条件について、Google検索から直接来られるページを作ります。
人材派遣なら「職種×地域」、人材紹介なら「職種×転職」「職種×エージェント」などが候補になります。
求人詳細だけでは募集終了で消えるため、恒常的な職種・地域ページも整えます。
2. 会社を選ぶ理由が分かるページ
媒体で求人を見た人が、会社名を検索して自社サイトを見ることがあります。
そのとき、
- 何の職種に強いか
- どんな支援があるか
- 担当者は誰か
- 登録・面談はどう進むか
- 実績・事例はあるか
が分かるサイトにします。
自社サイトは「SEO流入を取る場所」だけでなく、媒体流入のCVを補強する場所でもあります。
3. 候補者との直接接点
フォーム登録、メール、LINE、会員登録など、媒体外でも連絡できる接点を作ります。
当然、個人情報・配信同意等を適切に扱う必要がありますが、過去に接点を持った候補者へ新しい求人を案内できれば、毎回新規広告費を払う必要はありません。
4. データ
どの職種・地域・ページから、登録、面談、稼働・成約が生まれたかを自社で把握します。
媒体の管理画面だけを見るのではなく、自社CRM・応募管理へ成果を戻します。
このデータが、次にどのページや広告へ投資するかの判断材料になります。
自社集客への移行は「媒体を止めてSEOを始める」ではない
よくない移行は、媒体費をいきなり削り、SEO記事を大量制作することです。
SEOは成果が出るまで時間がかかります。検索需要のない記事を増やしても応募は増えません。
次の順で進めます。
Step 1. 現在の媒体を職種・地域別に評価する
媒体別に、
- 応募
- 有効応募
- 面談
- 就業・成約
を出します。
「どの媒体が良いか」ではなく「どの媒体×職種×地域が良いか」まで見ます。
Step 2. 継続的に採用する領域を選ぶ
毎月・毎年募集する職種や地域は、自社集客資産を作る優先候補です。
一度だけの急募求人は、媒体で取り続ける方が合理的な場合があります。
Step 3. Search Consoleで既存の芽を探す
自社サイトがすでに「職種+地域」等で表示されているなら、そのページ改善から始めます。
ゼロから記事100本を作る前に、既に20位前後まで出ている重要ページを5位・10位へ近づける方が早いことがあります。
Step 4. 職種・地域の恒常ページを作る
求人詳細が終了しても残る入口を用意し、現在の求人へリンクします。
Step 5. 媒体から自社サイトも使う
媒体を見た人が会社名検索したときに、実績・サポート・登録方法が分かるようにします。
Step 6. 自社流入が育った領域から配分を見直す
検索経由で安定して応募・面談が生まれる領域ができたら、同じ需要へ払っている広告・媒体費とのバランスを確認します。
全面停止ではなく、領域単位で比率を変えるのが安全です。
SEOで作るべきなのは「記事数」ではなく検索入口
媒体依存を減らしたい会社がSEOを始めると、「ブログを毎月10本」のような施策になりがちです。
しかし、求職者が欲しいなら、事業と近い検索入口を優先します。
人材派遣
- 職種×地域
- 職種×未経験
- 派遣登録の流れ
- 職種の仕事内容
- 地域の求人情報
人材紹介
- 職種×転職
- 職種×エージェント
- 職種×年収・キャリア
- 業界×転職
- 法人向け職種別人材紹介
さらに記事から求人・職種ページ・登録へ内部リンクします。
PVだけ大きい一般転職記事を大量に作っても、自社の求人とつながらなければ媒体依存は減りません。
「求人詳細がたくさんある=自社集客できる」ではない
求人CMSへ数千件掲載していても、検索流入が弱いサイトはあります。
原因には、
- 求人詳細が内部リンクされていない
- 職種・地域一覧が薄い
- 絞り込みURLが大量発生している
- 同じ求人の重複URLがある
- 終了求人の処理が不適切
- JobPosting構造化データに問題がある
などがあります。
求人サイト型の自社集客では、コンテンツSEOだけでなくテクニカルSEOも確認します。
Indeedの方針変更から考える「外部チャネルの前提は変わる」
Indeedの人材紹介・派遣企業向け求人が2026年3月18日以降有料掲載必須になったことは、特定サービスの良し悪しではなく、重要な示唆があります。
外部プラットフォームのルールは自社では決められないということです。
同じことは広告単価、媒体アルゴリズム、SNS表示、スカウト送信制限などにも起こります。
だから、
- 媒体
- 広告
- SEO
- 自社DB
- 紹介・リファラル
へ適度に分散します。
自社サイトもGoogle検索へ依存するため、SEOだけ100%にするのも同じく危険です。
目標は「外部依存ゼロ」ではなく、どこか1つが変わっても事業が止まらない集客構造です。
自社集客への移行は3段階で考える
第1段階|外部チャネルを残したまま自社の受け皿を整える
求人媒体やIndeedで応募を確保しつつ、会社名検索で見られるサービス・実績・職種ページ、応募フォームを改善します。ここでは媒体費を削ることより「来た人を落とさない」ことを優先します。
第2段階|継続職種の検索入口を増やす
媒体実績から反応の良い職種・地域を選び、職種ページ、地域ページ、関連ノウハウ、求人詳細をつなぎます。Search Consoleで表示・順位・クリックを確認し、手応えがある領域へ追加投資します。
第3段階|成果が確認できた領域だけ配分を変える
自社経由の応募・面談・稼働が安定したら、その職種・地域で使っている媒体・広告費との重複を確認します。媒体を全社一律で削るのではなく、成果が代替できた領域から調整します。
この順番なら、短期の応募数を犠牲にして長期施策へ賭ける必要がありません。
自社集客のKPIは「自然検索比率」だけではない
媒体依存を減らすKPIとして、自然検索応募比率だけを見るのは不十分です。
たとえば、
- 自社サイト経由の応募・登録数
- 自然検索からの面談・稼働・成約数
- 会社名検索からのCV
- 既存登録者の再稼働・再面談
- メール・LINE等の自社接点からの応募
- 継続職種の媒体費と自社獲得費の推移
を見ます。
SEO流入が増えても、媒体経由候補者が会社名検索してCVしているなら、自社サイトは媒体を補助する資産として価値があります。
実例|媒体以外の検索入口を作り、検索経由応募1.7倍
ツリーズコンサルティングが支援した専門職の人材派遣会社では、求人イベントなどを使いながら、検索・自社サイト経由の応募が伸び悩んでいました。
外部制作会社とSEOを進めても主要キーワードは上位30位圏外でした。
そこで、
- 事業と強みを整理
- 検索されるキーワードを設計
- 足りないページを作成
- ページ内容と応募導線を整理
- 制作会社との実装を支援
しました。
その結果、新規ページは3位まで上がり、検索経由の求人応募は前年同期比1.7倍になりました。
重要なのは、広告や媒体を否定したことではありません。
自社サイトにも新しい応募入口を追加したことです。
媒体依存度チェック
- 応募の半分以上が1媒体に集中していないか
- 出稿停止時の代替チャネルがあるか
- 継続採用職種に自社検索ページがあるか
- Search Consoleで検索表示されている職種・地域を把握しているか
- 媒体から会社名検索された際に強みが伝わるか
- 過去登録者へ適切に再接触できるか
- 求人詳細と職種・地域ページがつながっているか
- 媒体別の応募だけでなく面談・成約・稼働まで見ているか
- 外部チャネルの料金・ルール変更があっても集客が止まらないか
- SEOだけへの過度な一本化も避けているか
まとめ|媒体をやめるのではなく、自社にも入口を増やす
求人媒体やIndeedは、人材会社にとって重要な集客チャネルです。
問題は「使っていること」ではなく、「そこしかないこと」です。
- 急募・短期獲得は媒体や広告
- 継続職種・地域は自社SEO
- 過去接点は自社DB
- 潜在層はSNS等
と役割を分けます。
自社集客への移行は、一気に媒体費を削るのではなく、媒体データを使って優先領域を選び、自社サイトの検索入口を育て、成果が確認できた領域から配分を変えていくのが安全です。
ツリーズコンサルティングでは、求人媒体を減らすこと自体を目的にせず、現在の応募経路・検索状況・求人サイトを見て、自社側へ残せる集客資産を整理します。
媒体費が増えているが、SEOへどこまで投資すべきか判断できない場合は、現在のチャネル別成果から確認します。