人材派遣会社のSEOでは、一般企業のように「サービスページを作り、ブログ記事を増やす」だけでは十分ではありません。
派遣会社のサイトには、求人一覧、求人詳細、職種ページ、地域ページ、条件別ページ、派遣登録ページ、求職者向けコラム、法人向けページなど、多くの種類のページがあります。
さらに求人は追加・終了を繰り返します。
そのため人材派遣会社のSEOでは、どのキーワードを、どの種類のページで取るのかを最初に決めることが重要です。
ツリーズコンサルティングが支援した専門職の人材派遣会社では、SEOキーワードと必要ページを整理してサイト改善を進めた結果、主要キーワード:圏外→3位、検索経由の求人応募:前年同期比1.7倍になりました。
この記事では、まず検索意図・サイト構造・求人ページ・応募導線を整理し、その後、求人DB型サイト固有の技術SEOまで具体的に解説します。
人材派遣会社のSEOでは、最初に「誰を集めるSEOか」を分ける
派遣会社には大きく二つの集客対象があります。
一つは派遣スタッフ・求職者。もう一つは派遣先企業です。
例えば求職者は「札幌 事務 派遣」「大阪 倉庫 派遣」「製造 派遣 未経験」「夜勤 物流 求人」などを検索します。
一方、企業側は「製造業 人材派遣」「物流 人材派遣会社」「ITエンジニア 派遣会社」などを検索します。
同じサイトでも必要なページは別です。
まず、求職者獲得SEOと派遣先企業獲得SEOを分けるところから始めます。
人材派遣会社のSEOキーワードは「地域×職種」だけではない
1. 地域×職種
札幌 事務 派遣、東京 添乗員 求人、名古屋 製造 派遣など。実際に働く場所と仕事が決まっている検索なので、応募との距離が近いKWです。
2. 地域×条件
札幌 派遣 土日休み、大阪 派遣 未経験、東京 派遣 短期、夜勤 派遣 求人など。
3. 職種×求職者属性
事務 派遣 未経験、製造 派遣 50代、看護師 派遣 単発など。
4. 派遣そのものに関する情報検索
派遣 登録 流れ、派遣 初めて、派遣 面談 服装、派遣会社 複数登録など。
5. 派遣先企業側の検索
物流 人材派遣、製造業 人材派遣会社、札幌 人材派遣 法人など。これは求職者向け求人ページで取るKWではありません。法人サービスページへ割り当てます。
重要なのは「1KW=1記事」ではなく「検索意図=担当URL」を決めること
例えば「札幌 事務 派遣」を狙うとします。
派遣サイト内には、札幌の求人一覧、事務職一覧、札幌×事務の絞り込み一覧、個別求人、「札幌で事務派遣として働く」コラムなど、複数の候補URLが存在します。
全部で同じKWを狙うと、自社サイトの中で検索評価が分散します。
そこで、「札幌 事務 派遣」→札幌×事務の求人一覧・ランディングページ、「一般事務 派遣 仕事内容」→職種解説ページ、求人名・会社名など具体条件→求人詳細、というように役割を決めます。
記事数を増やす前に、検索意図とURLの対応表を作ることが、人材派遣SEOでは特に重要です。
人材派遣サイトのページ構造例
| ページ | 主な役割 | 主な検索 |
|---|---|---|
| 求人詳細 | 個別求人への応募 | 求人名・勤務地・職種・具体条件 |
| 職種ページ | 職種単位の求人探索 | 事務 派遣、製造 派遣 |
| 地域ページ | 地域単位の求人探索 | 札幌 派遣、大阪 派遣 |
| 地域×職種 | 高意図ロングテール | 札幌 事務 派遣 |
| 求職者ガイド | 情報収集 | 派遣 登録 流れ等 |
| 派遣サービス | 指名・会社比較 | 派遣会社+地域等 |
| 法人ページ | 派遣先企業獲得 | ○○業界 人材派遣 |
すべての組み合わせページを作ればよいわけではありません。
求人一覧ページには「一覧以上の価値」を持たせる
例えば「札幌の事務派遣求人一覧」を作る場合、求人カードが並んでいるだけでは、検索者に十分な情報を提供できない場合があります。
ページ上部や下部に、札幌の事務派遣求人の特徴、主な仕事内容、時給の見方、未経験求人の有無、求人数、主要勤務地、登録から勤務開始まで、関連職種など、自社が実際に保有する求人や支援内容に基づく情報を追加します。
地域名だけ置き換えたテンプレ文章を全国数百ページへコピーするのではなく、そのページを検索した求職者に本当に必要な違いを入れます。
求人詳細ページはSEOページであると同時にCVページ
求人詳細は、検索結果から直接入って、そのまま応募するページにもなります。
最低限、職種、仕事内容、就業場所、勤務時間、給与、契約条件、必要経験、歓迎経験、職場環境、派遣会社から受けられる支援、応募方法を分かりやすく載せます。
検索エンジンのためだけでなく、求職者が応募するかを決められるページにすることが重要です。
既存求人資産を確認してからブログを増やす
人材派遣会社では、SEO施策としてコラム制作が提案されることがあります。
コラムが有効なケースはあります。しかし既に求人500件、職種20種類、地域10エリア、派遣実績、FAQ、派遣スタッフ向け情報があるなら、まずそれをSEO資産として正しく整理する方が先かもしれません。
例えば、既存の500求人がGoogleにほとんどインデックスされていない状態で新規ブログを50本作っても、根本問題は解決しません。
人材派遣SEOでは、既存求人 → 一覧・カテゴリ → 職種・地域ページ → 求職者向け情報の順に、現在持っている資産を確認します。
求人ページから応募までのCV導線もSEO施策の一部として見る
SEOで順位が上がっても、求人を見て離脱するだけなら事業成果にはなりません。
検索経由ユーザーについて、Google → 求人一覧・職種ページ → 求人詳細 → 応募・登録まで計測します。
特に確認したいのは、求人詳細閲覧数、応募CTAクリック率、フォーム到達率、フォーム完了率、求人別応募数、SEO経由応募数です。
求職者が応募したいと思った瞬間に応募できるかを確認します。
人材派遣会社のSEOで見るべきKPI
順位だけを見ないことも重要です。
見る順番は、検索表示回数 → クリック → 求人詳細閲覧 → 応募・登録 → 面談 → 就業開始です。
SEOの最終成果を、PVや順位ではなく、就業につながる応募まで追います。
求人DB型サイトの技術SEO
ここからは、求人ページや絞り込みURLを大量に持つサイトで特に重要な技術論点です。
「地域×職種×条件」を機械的に大量生成しない
求人サイトでは、都道府県、市区町村、職種、雇用条件、給与、勤務時間、経験、特徴などで求人を絞り込めます。
その組み合わせすべてにURLを発行すると、検索価値のほとんどないURLが大量に生成されることがあります。
検索需要があり、十分な求人があり、独立ページとして価値を出せる組み合わせだけをSEO対象にするのが基本です。
同じ求人を複数URLで出す場合は重複を管理する
新着求人、地域別求人、職種別求人、おすすめ求人、検索結果などから同じ求人へアクセスできる設計自体は問題ありません。
問題になるのは、同じ求人内容が別々の求人詳細URLとして複数存在するケースです。
1求人につきSEO評価を集める代表URLを決めることが重要です。
必要に応じて、リダイレクト、canonical、サイトマップ等で正規URLを示します。
JobPostingは個別の求人詳細ページに設定する
JobPosting構造化データは、個別求人を説明する詳細ページへ設定します。
求人一覧・検索結果ページへ、一覧に含まれる全求人のJobPostingを機械的に設定する設計は避けます。
また、求人ページ上に表示している内容と構造化データの内容は一致させます。
派遣先企業を非公開にする求人
派遣求人では、派遣先企業名を公開できないケースがあります。
この場合も求人詳細ページそのものを正確に作り、構造化データについてはGoogleのJobPosting仕様に沿って実装します。
「派遣求人だからJobPostingが使えない」と一律判断する必要はありません。
募集終了求人を放置しない
募集が終わったのに「募集中」として検索結果へ残っていれば、求職者体験を悪化させます。
終了求人は、サイトの仕様に応じて、validThroughを適切にする、JobPosting構造化データを削除する、404/410にする、終了表示を出し関連する募集中求人へ誘導する、などを設計します。
過去に検索流入やリンクを獲得した求人まで、SEO上の理由なく機械的にすべて削除する必要はありません。
新着求人はGoogleに発見してもらえる構造にする
掲載期間が短い求人では、新しいURLがGoogleに発見される速度も重要です。
求人一覧からクロール可能なリンク、新着求人への内部リンク、XMLサイトマップ、正確なlastmod、JobPosting、必要に応じてIndexing APIを組み合わせます。
サイトマップには重要な正規URLを入れる
生成されたURLを全部サイトマップへ入れるのではなく、Googleに評価させたい正規URLを明確にすることが重要です。
小規模な派遣会社はクロールバジェットを過剰に恐れない
求人が100件程度の地域派遣会社なら、クロールバジェット対策より、狙うページが正しくインデックスされているかの方が重要です。
一方、求人が数万〜数十万URLあり、絞り込みURLも大量生成されるサイトでは、クロール効率が本格的な課題になります。
サイト規模に応じて優先順位を変えます。
内部リンクは「求職者の求人探し」と「Googleの発見」を両立させる
例えば、札幌の派遣求人 → 札幌の事務派遣 → 個別求人という導線を作ります。
個別求人からも、同じ職種、同じ地域、条件の近い求人、登録案内へリンクします。
この構造は、求職者が次の求人を探しやすくすると同時に、新しい求人や重要な求人へ検索エンジンが到達しやすくします。
人材派遣会社のSEOチェックリスト
| 項目 | 確認内容 |
|---|---|
| KW設計 | 地域・職種・条件と担当URLが決まっているか |
| サイト構造 | 求人・職種・地域・情報ページの役割が明確か |
| 求人詳細 | 求職者が判断できる情報量があるか |
| 重複URL | 同一求人が複数URLになっていないか |
| 絞り込み | 無価値なURLが大量生成されていないか |
| JobPosting | 個別求人だけに正しく設定されているか |
| 募集終了 | 終了求人が募集中として残っていないか |
| sitemap | canonical求人・重要ページが入っているか |
| 内部リンク | 新着・重要求人へクロール可能なリンクがあるか |
| Search Console | 重要求人がインデックスされているか |
| CV計測 | SEO経由の応募まで測定できているか |
全部を同時に直す必要はありません。今のサイトで応募数への影響が大きいものから順番に直します。
実際に、人材派遣会社で求人応募を1.7倍に改善
ツリーズコンサルティングが支援した専門職の人材派遣会社では、制作会社とSEOを進めていましたが、検索順位と求人応募が十分に伸びていませんでした。
そこで、会社の強み・事業領域の整理、SEOキーワードの設計、必要なページの洗い出し、ページに必要な情報の設計、制作会社への実装指示、コンテンツ展開方針を整理しました。
その結果、主要キーワード:圏外→3位、検索経由の求人応募:前年同期比1.7倍になりました。
SEOの成果は、検索順位が上がったことではなく、求職者からの応募が増えたことで評価しています。
人材派遣会社のSEOは、大手求人サイトと同じ戦い方をする必要はない
中小・専門派遣会社が、「派遣」「求人」「転職」のような巨大KWで大手求人サイトと正面衝突する必要はありません。
むしろ、自社に実際の求人案件がある地域・職種・専門領域を狙います。
例えば、添乗員、半導体製造、特定資格、地域物流、医療職、建設技術者など、自社の営業・派遣先開拓と連動したSEOです。
SEOで取れるKWではなく、自社が事業として取りたい求職者のKWを選ぶ。
これが人材派遣SEOで最も重要です。
人材派遣会社のSEO・Web集客を相談したい方へ
ツリーズコンサルティングでは、「SEO記事を毎月○本作る」といった施策ありきではなく、どの職種・地域の応募を増やすか、現在どのKWで評価されているか、求人ページがGoogleにどう認識されているか、既存ページを活かせないか、新しく作るべきページは何か、応募導線に問題がないかから確認します。
専門職の人材派遣会社では、主要キーワード:圏外→3位、検索経由の求人応募:前年同期比1.7倍の実績があります。
既に制作会社がいる場合も、SEO設計と優先順位をTreesが担当し、実装を現在の制作会社に依頼する形で進められます。
自社サイトのSEO改善余地を確認する
現在の状況を伺い、優先して確認すべき点と改善の進め方を整理します。
※初回相談は無料です。オンラインで全国対応しています。