人材派遣会社のSEO対策|求人応募につなげるサイト構造と求人ページの作り方

人材派遣会社の求人ページと検索集客・SEOを表したイメージ

人材派遣会社のSEOでは、一般企業のように「サービスページを作り、ブログ記事を増やす」だけでは十分ではありません。派遣会社のサイトには、求人一覧、求人詳細、職種ページ、地域ページ、条件別ページ、派遣登録ページ、求職者向けコラム、法人向けページなど、多くの種類のページがあります。さらに求人は追加・終了を繰り返すため、一般的なコーポレートサイトとは違う考え方でページを整理する必要があります。

そこで大切になるのが、「検索する人が何を求めているか」によって、見せるページを変えるという発想です。例えば同じ「派遣」に関する検索でも、次のように目的はまったく異なります。

検索例検索している人の目的見せたいページ
札幌 事務 派遣今応募できる求人を探したい札幌×事務の求人一覧
事務 派遣 未経験自分でも応募できる求人を探したい未経験求人を探せる一覧・カテゴリ
派遣 登録 流れ初めての派遣登録について知りたい求職者向けガイド
物流 人材派遣物流人材を派遣してほしい法人向けサービスページ

検索する人の目的が違えば、Googleの検索結果に出したいページも変わります。求人一覧・求人詳細のように「応募につながるページ」を見せるのか、それとも法人向けサービスページのように「問い合わせにつながるページ」を見せるのかを決めたうえで、実際の求人・サービス内容へと導線をつなげていきます。この記事では、この考え方を軸に、人材派遣会社のサイト構造と求人ページの作り方を整理します。

なお、SEO以外も含め、求人媒体・Indeed・広告・SNS・派遣先開拓まで含む集客全体については、人材派遣会社の集客方法で解説しています。人材紹介会社・求人サイトも含めた人材業界全体のSEO対策は、人材業界のSEO対策をご覧ください。

人材派遣会社のSEOでは、まず求職者と派遣先企業を分ける

派遣会社のサイトには、大きく二つの集客対象があります。一つは派遣スタッフ・求職者、もう一つは派遣先企業です。同じサイトの中に両方の検索意図が混在するため、まずこの二つを分けて考えることがSEO設計の出発点になります。

求職者は、「札幌 事務 派遣」「大阪 倉庫 派遣」「製造 派遣 未経験」「夜勤 物流 求人」のように、働く場所や職種、条件を組み合わせて検索します。一方、派遣先を探している企業側は、「製造業 人材派遣」「物流 人材派遣会社」「ITエンジニア 派遣会社」のように、自社が人材を依頼できる派遣会社を探す検索をします。両者は検索の目的も、見せるべきページもまったく別物です。求職者向けには求人一覧や求人詳細を、企業向けには法人向けサービスページを用意し、同じキーワードで両方を狙おうとしないことが基本になります。

検索する人の目的に合わせて、見せるページを決める

求職者・企業それぞれの検索は、さらに目的別に分かれます。ここでは代表的なパターンに分けて、どのページを見せるべきかを整理します。「この検索で、自社サイトのどのページを見せたいか」を決めることが、ここでのポイントです。

求人を探す検索 → 地域×職種・条件の求人一覧

「札幌 事務 派遣」「大阪 派遣 未経験」「事務 派遣 未経験」「夜勤 派遣 求人」など、掛け合わせる言葉こそ違いますが、検索している人の目的は共通しています。それは、自分が今応募できる求人を探すことです。

こうした検索に対しては、地域や職種、条件で絞り込んだ求人一覧ページを見せるのが基本です。派遣サイトの中には、地域の求人一覧、職種の一覧、地域×職種の絞り込み一覧、個別の求人詳細、関連コラムなど、似たテーマを扱う候補ページがいくつも存在します。似たページが複数あると、本来見せたいページではなく別のページがGoogle検索に出ることがあります。

そのため、「札幌 事務 派遣」なら札幌×事務の求人一覧、「一般事務 派遣 仕事内容」なら職種を解説するページ、求人名や会社名など具体的な条件を含む検索なら求人詳細、というように、検索語ごとに見せたいページをあらかじめ決めておきます。

派遣について調べる検索 → 求職者向けガイド

「派遣 登録 流れ」「派遣 初めて」「派遣 面談 服装」のように、派遣という働き方そのものについて知りたい検索もあります。これらは今すぐの応募よりも、派遣で働くことへの不安や疑問を解消したい検索です。求職者向けのガイドやコラムで、こうした情報検索を受け止めます。

働くための派遣会社を探す検索 → 求職者向けサービスページ

「派遣会社 複数登録」のように、求職者が働き先として複数の派遣会社を比較・検討する検索もあります。こうした検索は求人一覧ではなく、自社の強みや対応エリア、サポート内容を伝える求職者向けサービスページで受け止めます。求人を探している人と、派遣会社そのものを選ぼうとしている人とでは、見せるべき情報の粒度が異なります。

人材を探す企業の検索 → 法人向けページ

「物流 人材派遣」「製造業 人材派遣会社」「札幌 人材派遣 法人」のような検索は、派遣先を探している企業からのものです。これは求職者向けの求人ページで取るキーワードではなく、法人向けサービスページに割り当てます。

ここまでの整理をまとめると、人材派遣サイトの主なページの役割は次の表のようになります。

ページ主な役割主な検索
求人詳細個別求人への応募求人名・勤務地・職種・具体条件
職種ページ職種単位の求人探索事務 派遣、製造 派遣
地域ページ地域単位の求人探索札幌 派遣、大阪 派遣
地域×職種条件が具体的で応募意向の明確な検索札幌 事務 派遣
求職者ガイド情報収集派遣 登録 流れ等
派遣サービス指名・会社比較派遣会社+地域等
法人ページ派遣先企業獲得○○業界 人材派遣

すべての組み合わせページを作ればよいわけではありません。大切なのは、検索の目的ごとに見せたいページを一つに決めておくことです。

人材派遣SEOでは、求人一覧を検索入口として育てる

人材紹介会社のSEOでは、求人一覧・職種ページ・転職支援ページ・キャリア記事・求人詳細・法人向けサービスなど、幅広いページを使い分けます。詳しくは人材紹介会社のSEO対策で解説しています。

一方、人材派遣では、地域・職種・条件と実際の求人を結びつけた求人ページが、より中心的な役割を持ちます。派遣スタッフとして働きたい人の多くは、「自分がすぐ応募できる仕事があるか」を知りたくて検索しているからです。つまり人材派遣のSEOでは、自社が実際に持っている求人を掲載したページこそが、検索からの入口として育てるべき資産になります。

地域×職種ページには「一覧以上の価値」を持たせる

例えば「札幌の事務派遣求人一覧」を作る場合、求人カードが並んでいるだけでは、検索者に十分な情報を提供できないことがあります。ページの上部や下部に、札幌の事務派遣求人の特徴、主な仕事内容、時給の見方、未経験求人の有無、求人数、主要な勤務地、登録から勤務開始までの流れ、関連する職種など、自社が実際に保有する求人や支援内容に基づく情報を加えます。

ここで避けたいのは、地域名だけを置き換えたテンプレート文章を、全国数百ページへそのままコピーすることです。そうではなく、その地域・職種を検索した人に本当に必要な違いを、ページごとに書き分けます。

求人詳細は「応募できるか」を判断できるページにする

求人詳細ページは、検索結果から直接入ってくる入口であると同時に、そのまま応募を決めるページでもあります。最低限、職種、仕事内容、就業場所、勤務時間、給与、契約条件、必要経験、歓迎経験、職場環境、派遣会社から受けられる支援、応募方法をわかりやすく載せます。

実際の支援現場では、地域別の求人ページで、検索者が求人を探しに来ているにもかかわらず、会社説明やメリット説明が先に長く続き、肝心の募集要項までなかなかたどり着けないという課題が見られました。そこで、ページ冒頭で地域・職種を明示し、未経験可、研修、資格取得支援、勤務条件など、応募判断に必要な情報を早い段階で見せる設計に変更しました。募集要項もページ上部に近づけています。

検索エンジン向けの設定を整えるだけでなく、「自分が応募できる仕事なのか」をすぐ判断できることを優先する。これが求人詳細ページ作りの中心的な考え方です。

実例|記事を増やしても主要キーワードが上がらなかった

筆者が支援した専門職の人材派遣会社では、まず周辺の情報記事を制作し、サイト改善を進めていました。情報記事そのものは複数が検索上位に入りましたが、肝心の「職種×求人」にあたる主要キーワードは、検索上位に十分届かず、伸び悩んでいました。

そこで、記事をさらに増やすのではなく、Googleの検索結果を見直しました。すると、上位には解説記事よりも、地域ごとの具体的な求人情報を持つページが多く並んでいました。ここから、検索している人は「派遣について詳しく知りたい」というよりも、「自分の地域で今応募できる求人」を探している可能性が高いと判断しました。

この判断にもとづき、情報記事ではなく複数地域の求人ページを、検索結果に出したい主なページへ切り替えました。あわせて、ページタイトル(title)、H1見出し、冒頭文、募集要項、サイト内の関連ページ同士をつなぐ内部リンク、求人情報そのものを見直しています。

「記事追加」ではなく「見せるページ」を変えたSEO改善例。主要キーワードの改善を目的に検索結果を見直し、情報記事から地域別求人ページへ切り替え、数週間で1ページ目、数か月で1位になった実務事例

その結果、対象の地域別求人キーワードは、数週間で検索結果1ページ目に入り、その後数か月で1位まで改善しました。同じ期間で比較すると、サイト全体の応募数も前年同期比で約1.7倍になっています。

この事例で最も重要なのは、1位になったという結果そのものではなく、なぜ主要キーワードが伸びないのかをGoogleの検索結果から読み取り、検索する人の目的に合うページへ切り替えたという判断のプロセスです。この案件で行った施策全体は、専門職人材派遣会社のSEO事例で紹介しています。

新しい記事を作る前に、今ある求人資産を確認する

人材派遣会社では、SEO施策としてコラム制作がよく提案されます。コラムが有効なケースもありますが、すでに求人500件、職種20種類、地域10エリア、派遣実績、FAQ、派遣スタッフ向け情報などを持っているなら、まずそれらをSEO資産として正しく整理するほうが先かもしれません。

例えば、既存の500求人がGoogle検索の対象として十分に認識されていない状態のまま、新規のブログ記事を50本作っても、根本的な問題は解決しません。人材派遣SEOでは、既存の求人 → 一覧・カテゴリ → 職種・地域ページ → 求職者向け情報、という順番で、今すでに持っている資産を確認することが優先されます。

自社サイトでは、求人ページと記事のどちらから直すべきか?

求人一覧、求人詳細、記事、法人向けページのうち、どこから改善すべきか迷う場合は、現在Google検索に表示されているページやサイト構成をもとに確認できます。

検索流入を応募・就業までつなげる

SEOで検索順位が上がっても、求人を見た人がそのまま離脱してしまうなら、事業の成果にはつながりません。順位だけでなく、検索から応募・就業までの一連の流れを見る必要があります。

求人ページから応募・登録までの導線を見る

検索経由のユーザーについては、Google → 求人一覧・職種ページ → 求人詳細 → 応募・登録という流れで計測します。特に確認したいのは、求人詳細ページが見られた回数、応募ボタンが押された割合、応募フォームまで進んだ割合、フォームを最後まで送信できた割合、求人ごとの応募数、そしてGoogle検索経由の応募数です。求職者が「応募したい」と思った瞬間に、実際に応募できる状態になっているかを確認します。

順位ではなく、応募・面談・就業まで測る

検索順位やページの閲覧数だけを見て終わらせないことも重要です。見るべき流れは、検索表示回数 → クリック → 求人詳細閲覧 → 応募・登録 → 面談 → 就業開始です。検索順位やPVだけでなく、応募・登録・面談・就業までを見て、事業成果につながっているかを確認します。

求人データベース型サイトで確認したい技術SEO

求人一覧・絞り込みURL・求人向けの構造化データであるJobPosting(求人内容をGoogleに正しく伝えるための仕組み)・重複URL・Googleへの更新通知・募集終了求人の扱いなど、求人サイト全体に共通する技術SEOの詳しい内容は、求人サイトのSEO対策で解説しています。ここでは、人材派遣会社に特有の論点だけを取り上げます。

  • 掲載期間が短い派遣求人は、Googleに新着として発見されやすい内部リンク・サイトマップ構造にする
  • 1つの求人を「札幌の事務」と「未経験歓迎の事務」など複数の求人一覧に掲載する場合でも、求人詳細ページを別々のURLで複製せず、1つのURLに統一する
  • 募集が終わった求人を「募集中」のまま放置しない
  • 求人が少ない小規模な派遣会社では、Googleがサイトを巡回できる量を細かく気にするより、狙うページがGoogle検索の対象として正しく登録されているかを優先する

派遣先企業を非公開にする求人

派遣求人では、派遣先企業名を公開できないケースがあります。この場合も、求人詳細ページそのものは正確に作り、構造化データについてはGoogleのJobPosting仕様に沿って実装します。求人一覧ではなく、個別の求人詳細ページへ設定することが基本です。「派遣求人だからJobPostingが使えない」と一律に判断する必要はありません。

人材派遣会社のSEOチェックリスト

項目確認内容
キーワード設計地域・職種・条件ごとに、見せたいページが決まっているか
サイト構造求人・職種・地域・情報ページの役割が明確か
求人詳細求職者が応募を判断できる情報量があるか
重複URL同一求人が複数URLになっていないか
絞り込み無価値なURLが大量生成されていないか
求人向け構造化データ(JobPosting)個別求人だけに正しく設定されているか
募集終了終了した求人が募集中のまま残っていないか
XMLサイトマップ正規URLとして扱う求人ページ・重要ページが入っているか
内部リンクGoogleとユーザーが新着・重要求人へたどれるリンクがあるか
Google Search Console重要な求人がGoogle検索の対象として認識されているか
応募計測Google検索経由の応募まで測定できているか

すべてを一度に直す必要はありません。今のサイトで応募数への影響が大きいものから、順番に直していきます。

まとめ|自社が求人を持つ地域・職種から始める

大手求人サイトと同じ「派遣」「求人」「転職」のような、検索数が非常に多い大きなキーワードで、正面から戦う必要はありません。むしろ、自社に実際の求人案件がある地域・職種・専門領域を狙います。

例えば、添乗員、半導体製造、特定の資格、地域の物流、医療職、建設技術者など、自社の営業活動や派遣先開拓と連動したSEOです。上位を取りやすいキーワードを探すのではなく、自社が事業として取りたい求職者につながる検索を選ぶこと。これが人材派遣会社のSEOで、最も重要な考え方です。