金属加工会社のホームページでは、「加工技術」「事業内容」という1ページの中に、
- 切削加工
- NC旋盤加工
- マシニング加工
- 研削加工
- 放電加工
- 5軸加工
などをまとめて掲載していることがあります。
会社案内としては間違いではありません。
しかし、新しい加工先をGoogleで探している発注担当者は、「この会社は金属加工ができますか」と調べているとは限りません。
実際には、
「NC旋盤でこの部品を加工できる会社はないか」 「SUSの研削を頼める会社はないか」 「ワイヤーカットで小ロット対応できるところはないか」
というように、加工方法と発注条件をかなり具体化して探すことがあります。
そのため金属加工会社のSEOでは、会社の技術を1ページに並べるだけでなく、加工方法ごとに「発注判断できるページ」を作ることが重要になります。
ただし、加工名ごとにページを大量生成すればよいわけではありません。
この記事では、どの加工を独立ページにするか、各ページへ何を書くか、材質・設備・加工事例とどうつなぐかまで具体的に整理します。
御社の加工技術を、発注担当者が検索できるページ構造へ整理します。 加工方法・材質・設備・事例をどう分けるべきか、現在のサイトと受注したい仕事から設計します。
加工方法ページは「加工技術の教科書」ではない
加工方法ページを作ろうとすると、
「切削加工とは、工具を使って材料を削る加工方法です」
という説明から始まり、
- 切削とは
- 旋削とは
- フライスとは
- メリット
- デメリット
を長く書く構成になりがちです。
もちろん最低限の説明は必要です。
しかし、加工会社へ仕事を依頼しようとしている人が本当に知りたいのは、「この会社に自分の図面を送ってよいか」です。
したがって、加工方法ページの主役は加工原理ではなく、
- どんな加工を受けているか
- どんな材質を扱えるか
- どのサイズまで対応できるか
- どの程度の精度実績があるか
- 何個から受けられるか
- どんな設備を使うか
- 類似実績があるか
- どこまで一貫対応できるか
という受注条件です。
まず「加工方法一覧」と「各加工ページ」を分ける
複数の加工方式を扱う会社なら、サイトを次のような構造にできます。
加工技術 ├─ NC旋盤加工 ├─ マシニング加工 ├─ 5軸加工 ├─ ワイヤーカット ├─ 形彫り放電加工 └─ 研削加工
「加工技術」の親ページには、会社全体として対応している加工を一覧化します。
一方、NC旋盤ページではNC旋盤の発注条件を詳しく説明し、研削加工ページでは研削固有の条件を説明します。
すべての加工名を1ページずつ作る必要はない
工場で可能な加工名を全部洗い出して、
- 穴あけ加工
- タップ加工
- エンドミル加工
- 溝加工
- ポケット加工
- 面取り加工
のように、すべて1URLずつ作る必要はありません。
独立ページを作るかどうかは、少なくとも次の5点で判断します。
| 判断項目 | 確認すること |
|---|---|
| 独立した需要 | その加工を指定して探す人がいるか |
| 受注価値 | 会社として増やしたい仕事か |
| 独自情報 | サイズ・設備・精度・ノウハウを書けるか |
| 実績 | 加工事例を複数持っているか |
| 検索意図 | 既存ページとは別の発注目的があるか |
「SEOページを増やしたいから」という理由だけでページを分けないことです。
「切削加工」と「NC旋盤」と「マシニング」は同じページでよいか
会社によって変わります。
たとえば、NC旋盤とマシニングの両方を主力としている会社なら、
切削加工 ├─ NC旋盤加工 └─ マシニング加工
と分ける方法があります。
NC旋盤を探す発注者は、
- 丸物
- 径
- 長さ
- 長尺可否
- 複合加工
- ロット
などを確認します。
一方、マシニングなら、
- XYZ加工範囲
- 3軸/4軸/5軸
- 多面加工
- 穴・ポケット形状
- テーブルサイズ
- ワーク重量
などが重要になります。
同じ「切削加工」でも、発注判断で確認する条件が違うためです。
逆に、NC旋盤の仕事がごく少なく、独立して売りたい技術でもない会社なら、無理に専用SEOページを作る必要はありません。
加工方法ページには「対応範囲」を最初に置く
発注担当者がページを開いたとき、最初に知りたいのは加工理論ではありません。
たとえばNC旋盤なら、
| 項目 | 掲載内容の例 |
|---|---|
| 加工 | NC旋盤・複合旋盤 |
| 材質 | SUS、鉄、アルミ等 |
| 対応径 | 自社の実受注範囲 |
| 長さ | 自社の実受注範囲 |
| ロット | 試作・小ロット・量産 |
| 精度 | 実績として示せる範囲 |
| 二次工程 | 熱処理、表面処理等 |
| 図面 | 2D、3D等 |
という概要表を置けます。
重要なのは、工作機械メーカーのカタログ値をそのまま加工能力として書かないことです。
実際の加工可否は、材質、形状、保持方法、重量、精度、工具、治具などによって変わります。
材質は「金属全般」で済ませない
加工方法ページでは、実際に受注経験のある材質を整理します。
たとえば、
- SUS303
- SUS304
- SUS316
- S45C
- SCM
- A5052
- A6061
- A7075
- C3604
- チタン
- インコネル
などです。
ただし、材質ページと加工方法ページを同じ内容にしないことが重要です。
加工方法ページ
「NC旋盤で何ができるか」が主題。
材質ページ
「SUS304をどう加工できるか」が主題。
たとえばNC旋盤ページでは、「SUS303、SUS304、アルミ、鉄系を中心に対応」と概要を示し、SUS304について詳しく説明する必要がある場合は、対応材質ページへ内部リンクします。
「加工方法×材質」を全部ページ化しない
ここで起こりやすいのが、
SUS304 NC旋盤 SUS316 NC旋盤 アルミ NC旋盤 SUS304 マシニング SUS316 マシニング アルミ マシニング
という掛け合わせページの大量生成です。
実際にそれぞれ独立した検索需要・実績・説明内容があり、会社として受注したいなら成立することがあります。
しかし、文章の材質名だけ変更したページなら、ユーザーにとっても検索エンジンにとっても価値が低くなります。
分割の基準は、掛け合わせKWが存在するかではなく、その組み合わせについて独自に説明できる加工条件・実績があるかです。
加工可能サイズは1つの数字だけで判断させない
加工方法ごとにサイズの意味は違います。
NC旋盤
- 最大径
- 最小径
- 全長
- 芯間
- バー材径
マシニング
- X
- Y
- Z
- テーブル
- ワーク重量
円筒研削
- 外径
- 全長
- 芯間距離
- 重量
内面研削
- 内径
- 深さ
- ワーク外径
「最大500mm」だけでは何が500mmなのか分かりません。
精度は「高精度」と書かず、何の精度かを示す
加工方法ページで、「高精度加工に対応しています」とだけ書いても、発注担当者には判断材料になりません。
たとえば、
- 寸法公差
- 真円度
- 平面度
- 平行度
- 同軸度
- 位置度
- 面粗さ
では意味が異なります。
また、加工事例1件で達成した値を、会社全体で常時保証できる値のように書かないことも重要です。
通常の対応能力と、個別案件の加工実績を分ける設計にします。
「加工技術」1ページに、すべてまとめていませんか? NC旋盤、マシニング、研削、放電など、独立させるべきテーマと統合すべきテーマを整理します。
設備ページとは役割を分ける
加工方法ページと設備ページも重複しやすい部分です。
加工方法ページ
この設備を使ってどんな仕事ができるかを書く。
設備ページ
- メーカー
- 型式
- ストローク
- テーブル
- 回転数
- ATC
- 台数
など、設備そのものを詳しく書く。
加工方法ページでは設備一覧をすべて再掲せず、代表設備を示して詳細な設備ページへリンクします。
加工事例を必ず加工方法ページとつなぐ
「NC旋盤加工できます」と書くより、
- SUS304
- φ○○
- 小ロット
- 薄肉
- 複合加工
などの実績が見える方が、発注担当者は判断しやすくなります。
加工方法ページには、その加工に関連する事例を3〜6件程度見せる方法があります。
事例が増えたら、加工方法 → 加工事例一覧 → 個別事例という構造にできます。
重要なのは、事例本文を加工方法ページへコピーすることではありません。
1事例1URLを正本にして、関連する加工方法・材質・用途ページから内部リンクします。
加工方法ページから図面問い合わせまで直結させる
ページを読んだ発注者が、「この条件なら頼めそうだ」と思った直後に、問い合わせ方法が分からないのは大きな損失です。
加工方法ページでは、
- この径・長さで加工可能か相談
- この材質に対応できるか相談
- 図面を送って見積依頼
- 小ロットで相談
など、そのページの内容に合わせたCTAを置きます。
行き先は同じ問い合わせフォームでも構いません。
重要なのは、加工ページ → 図面送付 → 加工可否判断が自然につながっていることです。
加工方法ページの基本テンプレート
1.この加工で対応できる仕事
得意形状・用途・ロットを簡潔に説明。
2.対応範囲
材質、サイズ、精度、ロット等。
3.加工上の特徴
自社が得意とする技術的条件。
4.設備
代表設備と役割。
5.加工事例
実際の加工条件と実績。
6.品質・測定
要求精度をどう確認するか。
7.前後工程
材料調達、熱処理、表面処理、組立等。
8.よくある相談
営業現場で実際に聞かれる内容。
9.図面・見積CTA
案件情報を渡せる導線。
この順番なら、「加工とは何か」を読むだけの記事ではなく、発注判断のためのページになります。
加工方法ページ同士も内部リンクする
実際の部品製作では、加工方法が1つで完結しないことがあります。
NC旋盤 ↓ マシニング ↓ 熱処理 ↓ 円筒研削 ↓ 表面処理 ↓ 検査
という工程です。
そのため、ページ同士も実際の加工工程に沿ってリンクできます。
「マシニング加工後に研削仕上げまで対応」という本文があるなら、そこから研削加工ページへリンクします。
ページ数より「受注可能な加工」を優先する
金属加工会社では、できることをすべてWebへ出そうとすると数十〜数百テーマになります。
しかしSEOの目的は、加工用語辞典を作ることではありません。
まず、
- 売上を増やしたい加工
- 設備に余力がある加工
- 利益が出る加工
- 実績を公開できる加工
- 検索需要がある加工
を優先します。
たとえば5軸加工機を新しく導入し、複雑形状・多面加工の新規案件を増やしたいなら、5軸ページの優先度は高くなります。
一方、社内ではできても積極的に外販したくない工程なら、SEOページを強化する理由は薄くなります。
Search Consoleでは「流入数」だけ見ない
加工方法ページを公開したら、Search Consoleで、
- どんな加工名で表示されたか
- 材質との掛け合わせが出ているか
- 小ロット・試作等の条件語が出ているか
- 意図しないページが評価されていないか
を確認します。
たとえば本来NC旋盤ページを出したい検索で、トップページばかり表示されているなら、担当ページが十分に評価されていない可能性があります。
逆に、NC旋盤ページが「SUS304 NC旋盤」「NC旋盤 小ロット」などでも表示され始めたら、いきなり掛け合わせページを増やす前に、そのページを強化する方法があります。
加工方法ページのSEOで避けたい5つの失敗
1.加工名だけ変えたページを大量作成する
独自情報がなく、ページ同士の違いがほとんどない。
2.加工原理の説明ばかり長い
加工会社選定に必要な情報が少ない。
3.設備スペック=加工能力にする
実際の受注可能条件と異なる可能性がある。
4.加工事例とつながっていない
「できます」という説明だけで裏付けがない。
5.問い合わせ導線が同じ「お問い合わせはこちら」だけ
発注担当者が次に何を送ればよいか分からない。
まとめ|加工方法ページは「何を加工できる会社か」を検索可能にする
加工方法ページのSEOは、「切削加工とは」「研削加工とは」という解説記事を増やす施策ではありません。
金属加工会社が持っている加工技術を、加工方法 × 材質 × サイズ × 精度 × ロット × 設備 × 事例 × 問い合わせという発注条件へ翻訳することです。
そして、
- 加工方法
- 対応材質
- 設備
- 加工事例
- 用途
- 図面問い合わせ
を独立ページとして役割分担させ、内部リンクでつなぎます。
ページを増やすことが目的ではありません。
自社が取りたい加工案件を持つ発注担当者が、検索からその仕事の担当ページへ直接着地し、「ここなら相談できそうだ」と判断できる状態を作ることが、加工方法ページSEOの目的です。
御社の加工技術を、検索されるページへ整理します。 設備・材質・サイズ・精度・加工事例・図面問い合わせまで確認し、新規受注につながるサイト構造をご提案します。